第一三共ヘルスケア、「興味EC」で中国向け認知拡大 ショート動画で顧客接点を強化
日本企業の切り札
日本企業が競争の激しい中国市場で効果的にEC販売を伸ばすのは簡単ではない中で、ショート動画を見ながら「ゼロから関心を喚起できる」という機能は、外国企業にとって魅力的だという。特に中国国内でネットワークが弱くても、インフルエンサーの活用などで潜在的な消費者に訴求できる点は切り札になり得る。 日本の消費者が品質や性能を重視するのに対し、中国ではそれに加えてパッケージや製品の見た目、イメージなど「情緒的価値」が購買の決め手になることも多く、抖音電商から中国市場向けの見せ方のサポートを受けられることもメリットだという。また、抖音電商は口コミや検索、販売などの面で、ほかの販売チャネルにも好影響が出ていると強調した。 中国で流行している「ライブコマース」は、インフルエンサーとユーザーが直接コミュニケーションできるため、商品の魅力が効果的に伝わり、購買率(コンバージョン)の向上につながるのが特徴だ。 第一三共ヘルスケアは抖音電商と協力して、まず医学的なバックグラウンドを持つインフルエンサーに依頼してノンケミカルの日焼け止めを選ぶメリットが伝わるショート動画を作成してもらった。その説得⼒ある動画は消費者の関心を引き付け、「買いたい気持ち」が高まる。その後、⽇本在住のトップクラスの中国⼈ライバーによる⻑時間配信を実施し、さらに知名度向上と販売増加を実現した。この取り組みにより、最終的に「ミノンUVマイルドミルク」の売上高に大きく貢献し、ミノンは日焼け止めのランキングで300位から20位にまで急上昇したという。 日本企業の商品はコストが高いため、マーケティングも費用対効果が求められる。また、日本から中国への商品発送に3~4週間かかることもあるため、ライブコマースで一度に大量に商品を売れだした場合、急激な需要増に対応する物流体制の構築も課題となる。このため、中国市場に精通した抖音電商のようなパートナー企業との連携が、日本企業にとって不可欠だと指摘した。 李氏は、抖音電商を活用したEC事業は今後も成長を続けていくと予測する。短期的な視点ではなく、長期的に研究して活用を続けていくことで、中国市場で競争力を保ち、成功の可能性を高めることができるとみている。 (36Kr Japan編集部)