割高な通話料、「かけ放題」適用外…企業や行政の案内電話に「0570・ナビダイヤル」が増えている訳
1月から、通話料が大幅に見直された「ナビダイヤル」だが…
高くなりがちだったナビダイヤルの通話料は今年から大幅に見直された。今年1月には距離による通話料の加算がなくなった。 これは10年以上をかけて準備が進められてきた固定電話のIP網への移行によるもの。これにより、固定電話の通話料は相手の距離にかかわらず、全国一律3分で9.35円(税込み)となった。ナビダイヤルの料金も、固定電話と同様に距離や時間帯による区分がなくなり、一律で20秒あたり11円(同)となった。 従来の固定電話の通話はケーブルを通り、相手まで複数の交換局を経由するため、距離により料金が高くなっていた。一方、固定電話がIP網に移行するとインターネット回線を使うため、ケーブルも部分的に経由するものの、距離にほとんど依存しないIP網の特性が生かせるようになった。従来のような距離による料金加算がなくなり、全国一律の料金が実現したのだ。 それでも、ナビダイヤルの通話料はまだ高い。一般の固定電話なら3分で9.35円だが、携帯電話からナビダイヤルにかけると3分で99円、10分なら330円になる。電話がなかなかつながらずに待たされ、音声ガイダンスなどに時間がかかることも多い。 携帯電話各社は引き続き、ナビダイヤルをかけ放題の対象外としている。ナビダイヤルは通話料がまだ高くなりがちで、かけ放題の対象にするのが難しいのかもしれない。 ◆NTTコミュニケーションズの広報担当者の説明は… 携帯電話からナビダイヤルにかけた場合の通話料は、発信者が携帯電話会社に全額を支払う。NTTコミュニケーションズの広報担当者は「携帯電話会社に通話料を回収代行してもらい、全額を受け取ります」と説明する。 企業や公的機関の電話対応について、「03」のような一般的な電話番号だと話し中などでつながらないことがあるほか、たらい回しにされることもあるのに対し、ナビダイヤルなら、どんどんアクセスできる可能性があると、石川さんは話す。 たとえば、神戸市はQ&Aサイトで、総合コールセンターにナビダイヤルを導入した理由を説明している。石川さんが説明したような事情を挙げ、「結果的に市民のみなさまをお待たせすることが減るため、ナビダイヤルを導入しています」としている。 旅行会社の阪急交通社もサイトで、ナビダイヤル導入の理由を説明している。これまでは用途が異なる問い合わせが多数あり、電話がつながらず、利用者に迷惑をかけていた。だがナビダイヤルを導入することで問い合わせ内容別に専用回線を設けることが可能になり、音声ガイダンスにそって受付を行うことで混雑を緩和し、待たせることなく案内できるメリットがあるという。 今後も企業や、公的機関の問い合わせ・相談の電話対応にナビダイヤル導入が増えてきそうだ。電話対応する側のメリットはわかるが、発信する一般利用者には料金負担がかさむ。ナビダイヤルだけを窓口とせず、電話がつながりにくくても「03」など一般の電話番号の併用や、メール対応など複数ルートがあるといい。カスタマーサービスの効率化で、一般の利用者には受難の時代となっている。 取材・文:浅井秀樹
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