割高な通話料、「かけ放題」適用外…企業や行政の案内電話に「0570・ナビダイヤル」が増えている訳
ナビダイヤルの導入が増えている理由は、「人手不足」「クレーマー対策」!?
そんなナビダイヤルの導入がなぜか増えているという。いったい導入者にどんなメリットがあるのか。通信業界に詳しいスマホ・ケータイ・ジャーナリストの石川温さんは次のようにみている。 「苦情などの対応による長電話を排除できます。それが一番大きな理由ではないでしょうか」 企業や公的機関は問い合わせや相談窓口を設ける必要があり、電話対応に長電話をする人もいる。本当に電話で話す必要があり、内容が複雑で長くなる人もいれば、時間つぶしのように気軽に長電話をかけてくる人もいるとみられる。 一方、企業や公的機関は人手不足や人件費などの問題があり、電話対応に人手をそれほど割けなくなっている。通話料が高くなるナビダイヤルを導入すれば、本当に必要な人しか、電話をかけないということなのだろう。 しかし、本当に問い合わせや相談が必要な人には、通話料が高くなって困る。石川さんは、電話対応がナビダイヤルしかないことがあり、「問い合わせがしにくくなっている」と話す。 問い合わせや相談窓口業務などカスタマーサービスの効率化は課題であり、ホームページ上のチャット画面で応対するケースも増えていくと、石川さんは言う。 ナビダイヤルのサービスを提供するのはNTTコミュニケーションズ。そのホームページではナビダイヤルのさまざまなメリットを掲げて導入を促している。挙げられているのは、次のようなものだ。 ・電話番号の対応窓口を「0570」に統一して、かかってきた電話を全国に複数ある拠点の対応先に割り振ることができる。 ・受付の用途別に「0570」に続く6桁の番号の使い分けもできる。 ・電話番号が「0120」で始まるフリーダイヤルは発信者でなく、受け手が通話料を負担するのに対して、「通話料金は発信者負担にしたい」という場合にいい。 ・多くの電話を効率的に受けられるように、問い合わせや相談の内容に応じ、発信者にシステム上で選んでもらって対応を振り分けられるほか、音声ガイダンス機能も活用できる。 NTTコミュニケーションズのナビダイヤル導入を促す広告サイトは、これらのメリットを掲げた後に、申し込みや問い合わせに電話で対応すると案内している。その電話番号は「0120」で始まるフリーダイヤルで、発信者に配慮した対応となっている。 ◆行政サービスの電話窓口…苦情関連はなぜか「0570」 最近は企業や公的機関の問い合わせ・相談の電話窓口に、このナビダイヤルの採用が増えており、ナビダイヤルしかない場合も少なくない。 たとえば、「政府広報オンライン」のサイトを開くと、行政苦情110番(総務省行政相談センター「きくみみ」)の電話番号が「0570」で始まるナビダイヤルとなっている。電波の安全性に関する相談窓口(総務省)も電話番号はナビダイヤルだ。 一方、電気通信消費者相談センター(総務省)の電話番号は「03」で始まっている。ナビダイヤルに関する苦情や相談もあるため、あえてナビダイヤルにしていないのではないだろうか。 令和6年能登半島地震で被災された方のための災害相談用フリーダイヤル(総務省)は、電話番号が「0120」から始まり、発信者は通話料を負担しない。 電気通信分野を管轄する総務省が電話の対応で、発信者の属性に応じて番号を使い分け、一部の人には特別の配慮をしているようだ。特段の配慮が必要ないと判断すれば、原則としてナビダイヤルになっているとみられる。