アーティストから俳優の道へ、一段ずつ階段を上る坂東希が頑張ることを諦めない理由
諦めない美学を学んだ一冊の本
──『韓国ドラマな恋がしたい』でもそれまで演技にコンプレックスがあったとおっしゃっていました。それでもずっと続けてこられた理由って何だと思いますか? 本当に負けず嫌いで、反骨精神で動くタイプなんですよ。E-girls辞めて、この世界はどんどん切り替わっていくから、態度が変わったりとか、そういうのが悲しかったとかじゃないんですけど、自分が思ってる以上にE-girlsにいたのは大きい看板だったんだなって感じて。そういう状況になって、「この世界で成し遂げるしかない!」と思って(笑)。他にやりたいことも浮かばなくて、お芝居は「これでやってやるぞ」って気持ちになれたというか、続けたもん勝ちじゃないですか。いつでも辞めることはできてしまうし、それこそ前の会社辞める時も「辞めるのってこんなに簡単なんだ」って思ったんです。長くやっていればきっと何かにつながると思って、今は頑張っています。 ──「続けたもん勝ち」って、言うのは簡単ですけど難しいですよね。その考えに至ったきっかけなどあったんでしょうか。 私の中ですごい視野が広がったのは、お芝居じゃないんですけどパティ・スミスの自伝書ですね。自分の中でカルチャーショックというか、日本って優しい平和な国だなって思って。あと、売れるまでにすごい努力と下積みがあって、でも絶対自分達のことを信じてるんですよ。パティ・スミスもカメラマンのパートナーも。その根拠がない夢に向かって信じて進んでいて。当時自分がE-girlsとしても活動してる時期で、売れなくても悩みはあるし、売れても悩みがあるっていうのは本でいろいろ感じたというか。どんな場所にいても悩みは尽きない。それでも自分の表現を諦めないのは本当にかっこいいなと思って。やりたいと思ってることに対して、どうしようって思ってる時間を「やれば?」って気持ちにさせてくれるというか、そうやって大胆に生きている人もいるんだなと思いました。だから心に決めて役者業を始めたとかじゃなくて、やっちゃえっていう感じで来ていて。自分の中ではあの多感な時期に読んだのがすごい大きかったんじゃないかなって思います。 ──何歳ごろに読んだんですか? 18、19歳とかかな? そのあとすぐにニューヨークに一人で行ったんです。興味が出たら行かないとだめなタイプで。ライブの千秋楽の次の日に行きました。だから、続くか続かないか置いておいて、やってみないとわかんないことも多いから、そうやって興味があることにはどんどんいくタイプですね。 ──そのニューヨークの話も然り、YouTubeを見ても人一倍行動力があるというか、有言実行タイプですよね。 口に出す時はもうやるって決めている時かもしれないです。ちょっと自分に厳しいところもあるから、言葉にする時はもう固まっているぐらいじゃないと言わない。そんなタイプかもしれないです。 ──役者として最初のお仕事は2012年の『GTO』ですよね。その時期は雑誌の専属モデルもやりながらで、かなりお忙しかったんじゃないですか? そうですね。まだ中学生とかだったので、本当にずっと眠くて。でも若すぎて、なんで自分が疲れてるのかもわからない状態。「そっか。ずっと5時起きが何回も続いてたからか」みたいな(笑)。 ──自分ではどんな子どもだったと思いますか? 小2で東京に来たんですけど、小4ぐらいに両親とお台場冒険で遊んでたらスカウトされました。その時は雑誌とか見始めてて、「ああ、楽しそう」ぐらいの気持ちで入って、E-girlsのオーディションがあって、受けたら受かっちゃったみたいなスタートだったので、そんな前に出たいっていう感じでもなかったけど、でもちょっと芸能界に夢は抱いてたんですよね。結構尖ってて、E-girlsのオーディションとSeventeenのオーディションを並行して受けさせてもらったりしていて。10代はやってやるぜみたいな気持ちがすごい強かったかもしれないですね。とはいえ、ダンスが得意で入ってるわけじゃないんでめっちゃ大変でしたけど、それも負けず嫌いで、辞めてもよかったのに辞めなかったっていう。 ──役としても『プロ彼女の条件 芸能人と結婚したい女たち』や『港区女子』など、強めのキャラを当てられることが多いと思うんですけど、自分ではなぜだと思いますか? 顔がそういう顔なんだろうなと(笑)。今までの活動をやってなかったら、こんなに強い感じって出てなかった気がするんですね。アーティスト業って自分たちが主役だったので、それをやってたからこそ、内から出る図々しい感じがはまってるんじゃないかなと思います。蓬莱竜太さんの舞台に来年出るんですけど、それは年上彼氏がいる女優の役で、オーディションで年上の彼氏に対する愛想笑いが一番上手かったと思って聞いたら、蓬莱さんに「いや、そこじゃない」って言われました(笑)。女優の役なので、自分も女優としてはまだ若手だけどどこかで強い自我があるのは否めないので、それもあってはまり役って言ってもらえるのかなと思います。