アリーチェ・ロルヴァケル『墓泥棒と失われた女神』90秒予告公開 レトロな本ビジュアルも
7月19日よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほかにて全国順次公開される『墓泥棒と失われた女神』の本ビジュアルと90秒予告が公開された。 【写真】アリーチェ・ロルヴァケル監督がカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した『幸福なラザロ』 本作は、カンヌ国際映画祭において『夏をゆく人々』でグランプリ、『幸福なラザロ』では脚本賞を受賞したアリーチェ・ロルヴァケル監督による、幻想(キメラ)を追い求める墓泥棒たちの数奇な物語。マーティン・スコセッシ、ポン・ジュノ、ソフィア・コッポラ、グレタ・ガーウィグ、アルフォンソ・キュアロンらが監督のファンを公言し、製作のバックアップに名乗りをあげている。 主人公アーサーを演じるのは、チャールズ皇太子に扮したドラマ『ザ・クラウン』シリーズで高く評価され、6月に公開される『チャレンジャーズ』では、ゼンデイヤ演じる主人公と三角関係になるテニスプレイヤーを演じているジョシュ・オコナー。『幸福なラザロ』を観て感銘を受けたオコナーがロルヴァケル監督へ「もしあなたの作品でイタリア語が下手なイギリス人の役が必要なら私がいます」と、熱烈な逆オファーの手紙を送ったことがきっかけで、主人公のキャラクターが「イギリス人」役に書き換えられたという。オコナーはアーサーを演じるにあたり、3か月間でイタリア語を取得。放浪者のようなアーサーのキャラクターにちなんで、撮影期間中はキャンピングカーで生活するなど、徹底した役作りを行った。 オコナーはロルヴァケル監督について「彼女は想像力に富んでいて、脚本も魅力的。アーサーのキャラクターは彼女と一緒に作り上げていったのですが、非常に興味深い体験でした。今では彼女は仲の良い友人であり姉のような存在。もっとたくさんの映画を一緒に作りたいな」とコメント。対してロルヴァケル監督はオコナーについて「とても好奇心が旺盛で、彼のイマジネーションは森のように豊かで生命力に満ちている。そして気さくで楽しい人、天才です!」とコメントしている。 公開された本ビジュアルには、主人公アーサーと個性豊かな墓泥棒の仲間たちが何かを探している様子が大きく写し出され、「誰もが幻想(キメラ)を探してる」というキャッチコピーが添えられている。そして、首のない女神像など劇中の様々なキーアイテムやアーサーを取り巻く登場人物たちのユーモラスな姿が盛り込まれ、どこかレトロで遊び心溢れるデザインになっている。 あわせて公開された90秒予告は、ある女性の夢を見るアーサーの姿から始まる。夢か現か、彼は忘れられない恋人の影を追っているようだ。アーサーはなぜか古代エトルリア人の遺跡を発見できる不思議な能力を持っていて、ダウジングでお宝を探し出す様子がリズミカルに映し出される。そして、「大地の女神」と呼ばれる美しい像を発見する墓泥棒たち。だが、やがて女神像の頭部をめぐって闇の美術商との騒動に発展していく。 そんなアーサーは忘れられない恋人べニアミーナのことも探している。本作は亡くなった妻を生き返らせるために冥界に赴いたギリシャ神話『オルフェウスとエウリュディケ』の悲劇のラブストーリーをモチーフにしており、ロルヴァケル監督作品のなかでも切なくロマンチックな物語となっている。アーサーは探し物をしている男性に話しかけられるが、その失くしてしまったものが「あの世に持っていく埋葬品」と言われてしまう。生と死、現実と幻想が入り混じる「マジック・リアリズム」の手法で表現される、独創的なロルヴァケルワールドの一端が垣間見える予告編となっている。
リアルサウンド編集部