国・自治体の少子化対策、世論はどう評価する? 出生率1を割った東京都、子育て世代では
1人の女性が生涯に産むとみられる子どもの数を示す「合計特殊出生率」が昨年、1.20と過去最低になりました。これが発表された10日ほど後の6月15、16日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)では、国や自治体の今後の対策で、出生率低下に歯止めがかかることを「期待する」という回答は39%。「期待しない」というほうが57%と多い結果でした。(朝日新聞記者・磯田和昭) 【グラフでチェック】国・自治体の少子化対策、世論の評価は? 〝異次元の少子化対策〟から1年超
年代別で「期待感」に大きな差はなし
出生率のデータは6月5日に厚生労働省が発表しました。同じ日には、改正子ども・子育て支援法が成立。この法律には、児童手当の所得制限の撤廃のほか、就労要件を問わず保育所を利用できる制度などが盛り込まれています。 最寄り駅から数駅のところの民間施設に子どもを預けにいくなど、子育てには記者も苦労しました。 それだけに、この法律による支援は「自分の子育て期に、こうだったら……」と、正直言ってかなりうらやましいものになっています。 ところが、今回の調査では「国や自治体の今後の対策」で少子化に歯止めがかかることは、「期待しない」という回答のほうが多い結果になりました。 質問の中で、出生率が最低になったと示したことが影響した可能性もあります。いまの少子化は対策でどうにかなるような次元ではない、といった受け止めがあるのかもしれません。 もしかしたら、年代別なら回答傾向に違いがあるのではと思い、見てみました。すると、18~29歳で「期待する」割合がやや低く、「期待しない」という割合が高めなほかは、ほぼ同じ傾向でした。 <Q 女性が一生の間に産むとみられる子どもの数を示す出生率が昨年、過去最低になりました。あなたは、国や自治体の今後の対策で、出生率の低下に歯止めがかかることを期待しますか。期待しませんか。 期待する/期待しない 全体=39%/57% 18~29歳=35%/61% 30代=41%/55% 40代=40%/57% 50代=44%/55% 60代=40%/57% 70歳以上=37%/56% *その他・答えないは省略。コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、6月15、16日に全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した858世帯から390人(回答率45%)、携帯は有権者につながった1587件のうち622人(同39%)、計1012人の有効回答を得た>