忘れらんねえよ 自主ライブ『ベイビー忘れきゅーれ』開催、伊澤彩織がゲスト出演&映画挿入歌の披露も!
長めのMCで『ベイビーわるきゅーれ』での、まひろとちさとが交わすやりとりや演技を褒め、監督も褒め「全員天才なんですよ」と絶賛。今回、「そっか、自由か。」でコラボできたこと、今日のライブが見事にソールドアウトしたことも合わせて「今日はもう祭りってことでいいんじゃないでしょうか?」と、再びテンションを上げていく。速いスカとブラストビートの「ばかばっか」で鬱憤と悲しみをぶちまけながらも、盛り上がりは確かに祭りのテンションだ。 曲中、千円札を握りしめてオーディエンスの上をクラウドサーフして後方のカウンターでビールを受け取り、戻る最中に立ち上がって「僕らの100年、ロックンロールが続くようにイッキしていいですか?」と、イッキコールを促すと、3イッキぐらいで飲み干し、ステージに帰還。それまでその場で暴れていたオーディエンスだったが、続く「ばかもののすべて」でひとり、ふたり、クラウドサーフに挑む人が出てきたのも面白い。「明日は平日だけど、明日なんかどうでもいい!」と、曲振りを超えたリアリティで「明日とかどうでもいい」に突入。ライブの終盤、もはや先のことを考えるのは無駄だというヤケクソ気味の明るさでフロアがいっぱいになる。 「バンドがあって助かった!」という叫びとともに、忘れの原点であるチャットモンチーをリスペクトする「ハナノユメ」のカバーが鳴らされると、改めてチャットの天才性も浮かび上がる。「力尽きるまでバンドやろうぜ!」と「バンドやろうぜ」に繋いだことで、「ハナノユメ」の生々しくて瑞々しくて手に負えない衝動、そしてバンドをやめられない一番の理由がこの上なく切実に届いたのだった。 最後のセクションは「この街には君がいない」、バンドの始まりを歌う「CからはじまるABC」でオーディエンスの絶叫シンガロングも渾然一体になってエネルギーが放出された。柴田は限界ギリギリの声で「マジで声出してくれるか?」と、懇願に近いテンションで「あー! あー!」を連呼。普通、というかゲストを迎えるための説明ぐらいするだろうに、本編の最後、しかも沸点を迎えたステージに伊澤をいきなり登場させ、新曲「そっか、自由か。」を披露して見せたのだ。あまりに自由な人を目の前にして、その人のままでいてほしいと“I Love You”を贈る、これまでの忘れらんねえよとは一味違うベクトルだが、それだけ『ベイビーわるきゅーれ』の純度が高いということなのだろう。フロア全員が「アイラビュー!」を繰り返す様は新鮮で美しかった。 早々にアンコールに応えて再登場したメンバーたち。柴田は今日のライブを生き甲斐にしてくれたひとりのファンのツイートに救われたと告白。音楽の根源的な喜びに触れる曲2曲、「この高鳴りをなんと呼ぶ」と「忘れらんねえよ」で締め括ったことが必然に思えた。なお、アンコール中に2025年6月28日に100回目となる『ツレ伝』を豊洲PITで開催することを発表した。2010年代から今に続くバンドシーンの一角を確かに映し出してきた『ツレ伝』が100回目に見せるものが何なのか、楽しみでならない。 Text:石角友香 <公演情報> 忘れらんねえよ ワンマンライブ『ベイビー忘れきゅーれ』 2024年11月4日(月・祝) 東京・LIQUIDROOM 出演:忘れらんねえよ、伊澤彩織(ゲスト) 【セットリスト】 01. 僕らチェンジザワールド 02. 俺にやさしく 03. だっせー恋ばっかしやがって 04. 北極星 05. だんだんどんどん 06. アイラブ言う 07. あの娘に俺が分かってたまるか 08. 踊れ引きこもり 09. 俺よ届け 10. 知ってら 11. いやがらせのうた 12. ばかばっか 13. ばかもののすべて 14. 明日とかどうでもいい 15. ハナノユメ 16. バンドやろうぜ 17. この街には君がいない 18. CからはじまるABC 19. そっか、自由か。 EN1. この高鳴りをなんと呼ぶ EN2. 忘れらんねえよ <イベント情報> 『ツレ伝100th Anniversaryツレ伝フェス2025』 2025年6月28日(土) 東京・豊洲PIT 開場12:00 / 開演13:00