「オーデマ ピゲ」がミラノで新作発表イベントを開催 APハウスや新作から考える名門の現在地
積極的に研究開発(R&D)に挑み続ける名門マニュファクチュールの、ある意味「凄み」さえ感じられる圧倒的なウオッチメイキング同様に、鮮烈な印象を残したのは37mm以下のフェミニンなモデルの数々だ。34、37mm径のシンプルなオートマティックモデルには、色使いやダイヤモンドセッティングで華やぎを授けるとともに、フライング トゥールビヨンを搭載したハイコンプリケーションでも、37mm径にバゲットカットダイヤモンドをふんだんにあしらったジュエリーモデルを展開した。
今後、さらに積極的に女性ユーザーを意識したモデルを強化していくというグローバル戦略を具現化した新作だが、そこには「オーデマ ピゲ」の「多様性を重んじる」という確かな哲学が宿っている。「時計の多様性」と「時代の多様性」──女性が社会で活躍する時代だからこそ、女性向けモデルのサイズやデザインのバリエーションを増やしていくことは、この名門マニュファクチュールにとって使命であり、それによって高級時計市場全般において女性向けモデルはさらなる活況を見せていくに違いない。
創業150周年というアニバーサリーイヤーを来年に控え、24年は「オーデマ ピゲ」がドラスティックな変化を遂げる1年となる。1月には長年にわたりブランドを率いてきたフランソワ-アンリ・ベナミアス(Francois Henry Bennahmias)に代わり、イラリア・レスタ(Ilaria Resta)がCEOに就任。
また、年内には新社屋が完成する予定で、年間生産本数の増加が期待されている。
現在も、世界的にアイテム全般が入手困難な「オーデマ ピゲ」だが、その戦略からも、企業としてのフィロソフィーからも、女性用モデルに関しては多少なりとも手に入れるチャンスが増えていくだろう。