速さよりも操る喜びを!日常領域でも楽めるマツダロードスターは、やっぱり日本の宝だ
ギネス記録も持っているマツダロードスター
約1000kgの軽量コンパクトなボディに程よいパワーのエンジンを搭載。後輪で駆動し、マニュアルトランスミッションで操る。ハイパフォーマンスモデルが登場すればするほど、あらためてその存在意義と魅力を実感させられるのがマツダロードスターだ。今回は日常使いから長距離まであらゆるシーンで活躍してもらい、ならではの魅力を体感した(Motor Magazine 2024年8月号より)。 【写真はこちら】車中泊もできたしサーキットも走った。ロードスターにクルマの楽しみ方を教えてもらった(全9枚) 1989年の初代NA型デビューから35年、いまもなお多くのファンに愛されているオープンスポーツカーの名車がマツダロードスターだ。「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンカー」としてギネスブックにも認定されているほどである。 そして、歴代どのモデルでもロードスターならではの魅力を持ち続けていることもこのクルマのすごさである。現行のND型もデビューは2015年とすでに9年が経過し、その間に改良を重ねて、もはや熟成の域にあるが、今回は2023年10月に大型改良が施されたモデルに約1カ月間乗ってみた。 ロードスターは運転が好きな人であれば一度は気にとめたことがある存在ではないだろうか。もちろん所有したことがある人も多いだろう。ただし、2シーター&オープンという特性上、実際に購入して乗ることができる人は限られる(セカンドカーとしてならば別だが)。 たとえば、私もそうである。4人家族、しかも子供がチャイルドシート必須の時期となると、もはやセカンドカーとしても乗ることも許されない。なので、今回は主に仕事で一人で乗るという前提でこのテストが実現した。役得である。
過去イチコンパクトになったがゆえに犠牲も?
過去にはNA型ロードスターを友人に布教しながら、自分はNB型ロードスターを購入したことがある。その時は独身だったが、ロードスターで車中泊をしながら旅もできたし、タイヤを積んでサーキットに走りに行ったりもした。ロードスターにクルマの楽しみ方を教えてもらった。 時を経て、久しぶりにロードスターに乗り込むと、思いの外、車内は狭く感じた。てっきり中年化と共に自分が肥大したのかと思ったが、そもそもND型は歴代モデルで一番全長が短く(3915mm)コンパクトになっているので、それもそのはずだ。 ただ、以前は幌を収納するスペースにも荷物を置けた気がするのだが、ND型ではエアロボードやシートバックバーなどもあって、そのスペースを荷物置き場として使うのは難しそうだ(そもそも本来の使い方ではないが)。だから荷物を載せるには苦労しそうだが、センターコンソールの収納や約130Lのラゲッジスペースをうまく活用するしかないだろう。 今回は主に通勤や取材の移動などに使用した。日々の通勤では渋滞にハマることも多く、燃費を悪化させる原因となってしまったが、それでも14.2km/Lという良好な数値を記録した。やはり自分で操作するMT車は通勤の道のりですらも楽しかった。 とくに夜遅く帰る時には必ず屋根をオープンにして走った。すると夜風と夜景がとても気持ちいい。そうしたロードスターならではの魅力を味わいつつ、特集取材にも同行した。 そこでは4WDターボのGRヤリスと乗り比べることができた。そもそもの出自も違い圧倒的なパフォーマンスで速さを極めたGRヤリスは楽しかったが、ロードスターはワインディングロードをそれなりに踏んで走っても安全な速度域で、かつ曲げるためにはしっかりとアクセルやブレーキペダルで荷重移動をコントロールすることが必要。しかもそのすべてが素直に反映されるから、面白い。速いクルマはいくらでもあるが、やはり運転技術を磨くには、こうしたクルマの存在が欠かせない。 それを再認識したところで、自分の運転がうまくなったかと言うとそれは別だが、あらためて運転スキルの重要さを身にしみて感じたところで、精進あるのみだ。