音楽から映画界まで ガガら米著名人から相次ぐ“反トランプ・コール”
大戦中に強制収容所に 日系人俳優の思い
トランプ政権発足後に国内におけるテロを防ぐ目的で実施される可能性が浮上しているイスラム教徒に対する登録制度に対しても、アメリカ国内では多くの市民から批判が噴出している。トランプ氏を支持する識者としてアメリカ国内のニュース番組にたびたび出演している元海軍特殊部隊兵士のカール・ヒクビー氏は16日、FOXニュースの番組内で「我々は日系人に対しても同様の措置を取った歴史がある」と発言し、イスラム教徒に対する登録制度に正当性があると主張した。 アメリカには過去に日系人を収容所に強制収容した「負の歴史」が存在する。第二次世界大戦中に「危険分子」とされた10万人以上の日系アメリカ人が、裁判などの手続きもないまま、財産を没収され、アメリカ各地に作られた強制収容所に送られた。ヒクビー氏の発言は、市民だけではなく、日系アメリカ人の議員からも強い調子で批判されている。日系アメリカ人俳優のジョージ・タケイは『スター・トレック』シリーズで重要な役を演じたことでも知られるアジア系アメリカ人俳優のパイオニア的存在でもあるが、5歳の時に家族と共に収容所に送られている。 社会運動にも積極的に参加し、フェイスブックでは1000万人近いフォロワーを抱えるタケイ氏は、アメリカの「非寛容さ」をユーモアにあふれた表現や写真(シェアも含む)で批判することでも有名だ。タケイ氏は18日にワシントンポスト紙に寄稿し、収容所での自らの体験を紹介した後に、「国家の安全という名のもとに、憲法で保障されている国民の権利や国民の保護が否定されてはいけない。この部分は明確にしておくべきだと思う」と、アメリカ社会の今後に警鐘を鳴らしている。
トランプ氏への期待を表明する有名人も
自らの政治的姿勢を表明するアーティストは、アメリカでは決して珍しい話ではない。民主党を支持するアーティストが多いようにも思われるが、共和党を支持する有名人も少なくはなく、今回の大統領選挙でもトランプ支持を公言していた俳優やミュージシャンは一定数存在したのだ。 クリント・イーストウッドはトランプが過去に馬鹿げた発言を繰り返していると前置きした上で、米メディアに対して「政治的正しさが充満する今の社会で、トランプの考えには興味深いものがある。クリントンはオバマ政権のやり方を踏襲すると思うので、私はトランプに投票するだろう」と語っている。トランプ支持者の多くがオバマ大統領による8年間でアメリカ国内が社会的・経済的に分断されたと考えているが、アンジェリーナ・ジョリーの父でアカデミー賞俳優でもあるジョン・ヴォイトも、「オバマ大統領による国家運営によってアメリカ社会はメルトダウン寸前まで来てしまった。トランプ氏の手腕に期待したい」と語っている。