増殖しすぎてドローンで全体を映せない 数ヶ月でダムの水面を覆いつくした緑の正体は「特定外来生物」【MRTニュース2024を振り返る】
ボタンウキクサの最大の特徴はその繁殖力の強さ。 花を咲かせて種をつけるため、風や水、動物、人間などによって拡散されるほか、 水の中で横に茎を伸ばし、その先に新たな株をつけて増殖するという。 (南九州大学環境園芸学部・山口健一教授) 「水平方向にね、次々クローンとして繁殖をします。ですから、あっという間にこのように水面全体がボタンウキクサによって覆われてしまいます」 そして大繁殖の要因のひとつとして、水の温度も関係しているという。 (南九州大学環境園芸学部・山口健一教授) 「基本的には、ボタンウキクサの場合は10℃を超えるとストロン(水平方向の茎)を形成して増殖をするということなんですけども10℃を下回ればいいかというと必ずしもそうではなくて10℃を下回ったとしても、どこかで数株は冬越しをしてしまう個体が出てしまいます。そうすると、彼らの生き残り戦略で次の年はこのような状況になってしまいます」 さらに、ボタンウキクサの間から縦に伸び、紫色の花を咲かせているホテイアオイも同様に繁殖力が強い植物だ。 ■ウキクサの大繁殖でどのような影響が? ウキクサは枯れると腐敗して水質を悪化させるほか、水面を覆いつくしてしまうことで、水中の光や酸素の不足につながり、生態系にも影響を及ぼすことが懸念される。 そして、実務的な影響も出ている。 (都城土木事務所・鏡園義幸課長) 「船での往来っていうのができなくなっておりまして」 県では、ダムの管理のため、船に乗って地形の状況や土砂崩れがないかなどを 監視しているが、ウキクサの繁殖によってそれができなくなっているという。 (都城土木事務所・鏡園義幸課長) 「(船の代わりに)周りの道路などを利用する形で、徒歩で確認をするというような形になってますので非常に時間を要する」 こうした問題は、ほかの地域でも確認されていて、鹿児島県の鶴田ダムでは、2019年、およそ1億5000万円をかけて除去作業を行ったが、わずかに残っていたことから次の年も爆発的に繁殖したという。