大勢の前で話すとき「頭が真っ白」になってしまったら…プロが教える「回復術」
自信のないことは緊張してしまう
正直、緊張を緩和させる方法は事前の準備につきます。 自信のないことは緊張してしまう。それが基本です。ただ、それでも緊張してしまうことはあると思います。私も今でも緊張するんです。 そういうとき私がやっているのは体を動かすこと。ヨガでもいいしジャンプしてみるとか身体をゆらすとか顔の筋肉も緩めておくとか、体が緩むと緊張感が取れてくると言われています。 あとはハーバード大学の教授のエイミー氏が提唱している「パワーポーズ」というものもあります。パワーポーズとは、自信が満ちたポーズを取ることで自分が大きな人間になったような錯覚になるリラックス方法だとエイミー氏は語っています。 トイレの中でそのパワーポーズをやってみるとか、顔のマッサージをしてみるとか、とにかくリラックスしてみると緊張が多少ほぐれると思います。 あとは、観客の中で誰か必ず応援者のような人がいる。その人を見つけてその人に話しかけてみてください。反応があるので安心に繋がります。
scan &stop(スキャンアンドストップ)とは
また大勢を目の前にした場合、目線の使い方で相手への伝わり方も変わってくるのでとても大事です。 私はscan &stop(スキャンアンドストップ)という手法を使っています。 最初は反応のいい人を見つけてその方に向かって話すんですが、そればかり続けているとまわりの人が無視されているように感じてしまうので、バーッと全体を見て、伝えたいことの大事なポイントで一人に止まって目を見て話す、という手法。 これは10人くらいでも1000人くらいでも使えると思います。 例えば上司がいて課長クラスがいるような10人規模の会議の場合、全体をスキャンして(一通り見渡して)伝えたいことの大事な部分はその場で一番位の高い人、意思決定者の目を見て話すようにする。 日本は集団主義で、社会で上の人を立てることが多い文化なので、こうすることで日本的なscan &stop(スキャン&ストップ)ができると思います。 1000人規模など大きな会場の場合は会場を4分割します。 4分割ごとにスキャンして、ブロックごとにscan &stop(スキャン&ストップ)をしていく。人数が大きいと一人一人と目を合わせられませんが、ブロックごとに目線を動かしていくことで誰も他人にならずに伝えることができるのです。 ---------- ●今週のtips ・大勢の前でも1対1の対話が同時多発的に起きていると考えて伝える ・どうしても緊張してしまう場合は体を動かしてリラックスする ・scan &stop(スキャンアンドストップ)で大事なことを伝える ---------- 「伝え方を鍛える」計8回の連載で、プロスピーカーである信元さんから日常のコミュニケーションでのtipsについて具体的な解決法を教えていただきました。 「伝えたいことがあるのにうまく伝えられない」という経験は誰しもあると思います。そんなとき、伝えることを諦めず、この連載を見返しながらコミュニケーションのチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
リップシャッツ 信元夏代(ブレイクスルー・スピーキング代表)