1月11日、米ニューヨークで、州最高裁に出廷したトランプ前大統領（ロイター＝共同）

　【ワシントン共同】米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は30日、多くの訴訟を抱えるトランプ前大統領が昨年1年間で弁護士費用など訴訟関連費に約5千万ドル（約73億7300万円）を費やしたと報じた。選挙運動用に集めた資金を充当。大統領選の共和党候補指名争いで独走し、11月の本選を見据えるが、莫大な財政負担が戦略に影響する可能性もある。 　候補指名争いでライバルのヘイリー元国連大使の陣営は声明で「選挙資金と時間を裁判と混乱に費やすことになる」と攻撃した。 　複数の民事訴訟を抱えるトランプ氏は昨年、議会襲撃など四つの刑事事件で起訴され、訴訟費用が膨らんだ。資金を調達するため、自身を支援する政治活動委員会と、無制限に献金を集められる特別政治活動委員会を利用。事件の証人になっている側近の弁護士費用の一部も支払っている。 　トランプ氏は1月26日、女性作家への性的暴行を否定して名誉を毀損したとして損害賠償を求められた訴訟で、ニューヨーク連邦地裁の陪審から総額8330万ドルの賠償金の支払いを命じる評決を受けた。