明日スタートのセ・パ交流戦で「パ高セ低」に異変が起きる可能性は?
そしてセのチームが反撃するためのポイントは不得意としているDHの使い方にある。 休養が必要なベテラン、守備に不安のある選手、あるいは代打の一番手の繰り上がりというパターンになるが、最もDHを有効利用できそうなチームは広島だろう。守備に不安のあるエルドレッドや40歳の新井貴浩だけでなく、体調に不安が残る菊池涼介あたりもDH起用すれば、攻撃の幅が広がる。 また阪神の福留孝介、顔面に死球を受けた鳥谷敬、巨人の阿部慎之助あたりも恩恵を受ける。阪神は打線が下降線で、巨人もチーム打率がセで最下位の.237と打線が低調だけに、ベテランをDHで休ませながら使えることがプラスに働く可能性はある。まだ完全復活とは言えない横浜DeNAの筒香嘉智あたりも、DH起用が気分転換になるのかもしれない。だが、故障者に苦しむヤクルトは、DHとなるとさらに選手層が薄くなるし、中日もゲレーロの守備不安を解消するくらいしかプラス材料はない。 前述の池田さんが続ける。 「異変は起きる可能性はありますが、ではパ高セ低の構図がひっくり返るかといえば、そこまでは難しいでしょう。楽天の強さが本物になっています。先に点をとるので心配していた中継ぎ陣が疲弊していません。西武も非常にバランスのとれた状態。ソフトバンクの先発陣が足りないのは気にはなりますが、逆に、セは広島以外のチームが、どこもネガティブな要素をもっています。 巨人は打てない。阪神も打線が少し下降気味で、メッセンジャー、能見以外の先発が不安です。横浜DeNAが、先発を整備していくと面白いのかもしれませんが、本来の武器である打線は、筒香の完全復活にかかっているでしょう。ヤクルト、中日はパの上位チームには見劣りします。DHの起用法にもよりますが、アドバンテージは、そういう編成をしているパのチームにあります。 交流戦では、極端な話、勝つチームと負けるチームが同時に発生する可能性があって、計算上は最大9ゲーム差を一気に縮めたり、離したりすることが可能で、ペナントレースの行方に大きな影響を与えます。例年より元気のないロッテ、オリックスとの星を取りこぼすチームは、ここで取り残されます。また広島が交流戦で首位を固めるようなことになるのかもしれません」 「パ高セ低」の交流戦トレンドを逆転するポイントは、不振のロッテ、オリックス、日ハムの3チームとどう戦うかが、カギになりそうだ。