【予測】2025年の朝鮮半島情勢、もはや内戦か?緊迫の韓国、米国との全面対決の目論む北朝鮮
米国、韓国との関係は
(4)第2次トランプ政権の発足は、北朝鮮のみならず全世界の関心事だ。金正恩氏とトランプ氏は3度会談し、27通の書簡を交わしており、個人的関係は悪くない。 しかし、北朝鮮は昨年7月、トランプ氏の大統領候補受託演説を受けて、「国家の対外政策と個人的感情は厳然と区別すべき」「米国との全面対決に十分に準備ができている」とした上で、米朝関係は「米国の行動いかんにかかっている」と、トランプ氏側にボールがあると宣言した。 他方のトランプ氏も山積する国内外の問題に対処しなければならず、北朝鮮問題の優先順位は必ずしも高くない。端的に言って、米朝首脳会談が今年行われる可能性は小さいと言える。 北朝鮮は国防5カ年計画を通じて、対米核抑止力を持つに至った。これまでの米朝協議のテーマは非核化だったが、今後、北朝鮮が核兵器を放棄することはあり得ない。ゆえに、どのような形で協議が始まるにしても、テーマは軍備管理にならざるを得ないとみられる。
(5)対南関係の転換は、23年12月末の党中央委員会第8期第9回全員会議で、南北関係を「もはや同族関係、同質関係ではなく敵対的な二つの国家関係」と定義したことから始まった。その後、南北連絡道路の爆破など象徴的な対応をとってきた。 日本では「二つの国家関係」という言葉が独り歩きして、北朝鮮が韓国に関与しないと考える向きが一部にあるが、金正恩氏は24年1月の最高人民会議での施政演説で、「朝鮮半島で戦争が起こる場合、大韓民国を完全占領、平定、修復し、共和国領土に編入する」と明言している。 つまり、平和的な統一は捨て去ったが、韓国の出方次第では武力統一するということだ。南北関係の危険水位は今年も上下するだろうが、この姿勢が根本にあることを忘れてはならない。 そのほか、現在まで最高人民会議の日程は示されておらず、代議員の任期5年を過ぎても選挙が行われていない。今年、選挙が行われるか否かは、国内事情に左右されるだろう。