急場しのぎで「流動性赤信号」防ぐ…韓国、短期借入金20%増加
1年以内に償還しなければならない短期資金を借り入れる大企業が増加している。景気低迷が長期化する中で大企業まで負債の質が悪化するのではないかとの懸念が出ている。 中央日報が韓国経済人協会に依頼してKOSPI時価総額上位50社(公企業、金融会社除く)の四半期報告書を分析した結果、7-9月期基準で50社の満期1年未満の短期借入金は1年間で20.2%増え83兆1180億ウォンに達することが明らかになった。企業の外部資金調達で短期借入金が占める割合も2023年7-9月期の17.6%から今年は20%に増えた。同じ期間に50社の満期1年以上の長期借入金は4.5%増え、会社の成長性を担保に一般投資家に発行する社債は2%増加するのにとどまった。短期借入金の割合が大きいほど企業の利子費用負担も大きくなる。 具体的に見ると、電気自動車の需要停滞により工場稼動率が落ちたバッテリー業界、中国発の供給過剰で振るわない石油化学などで短期借入金増加が目立った。LGエナジーソリューションは昨年7-9月期と比べ今年7-9月期の短期借入金が1兆926億ウォン増え2兆7164億ウォン(増加率67%)に達した。サムスンSDIは2兆149億ウォン増え1年間に175%の増加率を記録した。7-9月期に前年同期比で赤字に転落したロッテケミカルは2020年に3591億ウォンだった短期借入金が今年は3兆4438億ウォンで858%増えた。 不動産景気沈滞の直撃弾を受けた建設系列会社を持つ大企業も短期借入金が増えた。新世界の短期借入金は1年で1兆992億ウォン増えて87%増加した。 時価総額1位のサムスン電子も短期借入金の規模が拡大した。サムスン電子の短期借入金は昨年9月末に4兆3421億ウォンだったが今年7-9月期には11兆351億ウォンと154%増加した。相次ぐ大規模投資で昨年末に現金資産が2017年以降で最低を記録したサムスン電子は、流動性を確保するために満期が短い借入金を通じて資金を調達したとみられる。 このほか永豊(ヨンプン)とMBK連合の経営権攻撃に防衛中の高麗亜鉛は1年ぶりに短期借入金が168%の1兆1489億ウォン増えた。 ◇「景気見通し暗いというシグナルも」 業種により短期借入金の意味に違いはある。ハンファエアロスペースの短期借入金は1年間に65%増加したが、防衛産業受注が増えた影響だ。ハンファ関係者は「ハンファオーシャン買収と防衛産業受注増加にともなう影響。最近短期企業手形調達を実施し、ほとんどが12月に満期となり今後キャッシュフローが改善される予定」と説明した。武器受注は今後の武器システム引き渡しを約束してあらかじめ代金を受け取るため前払金が会計上は負債と認識される。 だが例外的なケースを除くと短期借入金が急激に増えると企業経営活動に負担になるというのが業界の大半の意見だ。韓国経済人協会のイ・サンホン経済調査本部長は「景気低迷に経営実績悪化まで重なり借入を増やさなければならない企業が増えているが、社債満期を延長しにくくなると企業が短期借入金に依存する傾向が大きくなった。金融機関でも企業の業績改善見通しを暗くみるため満期を短くする」と話した。祥明(サンミョン)大学経営学科のソ・ジヨン教授は「借入金満期が到来すれば満期を延長しなければならないが、今後の金利引き上げ時に費用が増加し企業の負担が大きくなる恐れがある」と話した。 営業利益で利子を返せない期間が3年続いた「限界企業」の割合が16.4%、大企業では12.5%に達する中で、業種別・企業規模別の政策支援が必要という指摘が出る。イ・サンホン本部長は「米トランプ前大統領の再選で世界経済の不確実性が大きくなり先端産業競争も激しくなるだろう。積極的に規制を緩和して税制支援を拡大し企業が事業しやすい環境を作らなければならない」と話した。資本市場研究院のキム・ピルギュ選任研究委員は「不確実性が高まっている状況で企業は個別に信用度を維持しようとする努力が必要だ。政府でも増える限界企業に対する政策的な備えとともに業況が悪化した産業を中心に注意深くみていかなければならないだろう」と話した。