「こどもまんなか社会」、「子連れ様・子持ち様」。子育てしにくい日本の現状を【社会学者が解説!】
ニュースやSNSなどでよく見聞きするキーワードの中から、バイラ世代が知っておきたいワードをピックアップ。今回はこどもまんなか社会、子連れ様・子持ち様について、永田夏来さんが家族社会学者の視点から鋭く解説! 【画像】社会学者が解説!結婚・出産・育児にまつわるニュースワード ●解説していただいたのは 永田夏来さん 兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授。家族社会学の観点から、結婚・妊娠・出産と家族形成についての調査研究を行う家族社会学者。著書に『生涯未婚時代』(イースト・プレス)など。
【こどもまんなか社会】本当に子どものため?
子どもの利益を最優先に考えた取り組みや政策を、国の中心に据える社会目標のこと。今後の子ども政策の基本理念を示す「こども基本法」が2023年4月に施行され、施策の立案と実施を担う「こども家庭庁」も創設された。「子どもが安心して育つ環境を整えようといった話なら面白いのですが、実際は合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数)をいかに上げるかという、ポイントがズレた机上の空論になっているのが残念です」(永田さん、以下同)
【子連れ様・子持ち様】SNS発のネットスラング
SNS上などで使われる、幼い子どもを持つ子育て世代を揶揄する言葉。「これまでも、『ベビーカーが邪魔』や『子どもの発熱で帰宅した人のフォローをするのは私。このモヤモヤをどうすれば……』といった声はありましたが、そもそも女性を想定した負のレッテルになっていることが問題。『時短勤務で周りに迷惑をかけてしまう』と萎縮する女性も多いけれど、はっきり言えば、迷惑をかけているのは妻側の職場の制度にタダ乗りしている夫側の職場です。これは労働問題として考えるべき」 コラージュ制作/花梨〈étrenne〉 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載