【JAIA試乗会】豊かな思い出 キャデラック エスカレード プラチナム
個人的な話で恐縮だが、昔からキャデラックが大好きだ。残念ながらまだ所有したことはないけれど、コンコースは真剣に(中古でだけど)購入を考えたこともある。CTC(セビルツーリングセダン)などと味気ない表記になる前のセビルは大好きだったし、アメリカに行ったら必ず背伸びをしてキャディーをエイビスに指名借りする・・・。それくらい憧れだった。だから今回の「JAIA輸入車試乗会」でエスカレード プラチナムに乗せてもらえると知った時は、それは、それは嬉しかった。
というほどのキャデラックへの愛がこもった試乗なので、かなりの贔屓目線で甘口の試乗記になることを最初にお許しいただきたい。そもそもCT5だXT4だCTSだといった味気なくわかりにくい名称を与えられず、エスカレードという堂々たる名前を与えられたキャデラックという時点で我々は完敗だ。以前にはエルドラードやフリードウッドといった優雅で素敵なネーミングを与えられていたというのに、昨今はスターウォーズに出てくるドロイドか、パソコンの種類のように味気なくわかりにくい数字とローマ字の羅列となってしまった。そんな中なのに、あえてエスカレードという名前を堂々と残してあることにこそ、この車の本当の価値と意味がある、そう思う。誰のための、本当のキャデラックかということが直感的にわかる、これはそういう意図的なネーミングに違いない(だからキャデラックのBEVがリリックにされたと聞いた時から、実はリリックに僕はとっても期待を抱いている)。
BEVやPHEVがすっかり主流となった2024年の「JAIA輸入車試乗会」会場で、ひときわ目立つ真っ白なエスカレードに乗り込み、素晴らしく繊細で美しいスクリーンや、上品にあつらえられたウッドパネルにうっとりとしながら6156cのV8 OHVエンジンに火を入れてJAIA輸入車試乗場を走り始めた時、紅白歌合戦、いやグラミー賞の大トリに出場するような大物歌手の気持ちとはかくなるものか、とさえ感じたものだ。そして眉間にしわをよせながら、限界ハンドリングがアンダーステアで、うんぬんかんぬん、加速時のジャークがどうたらこうたら、という評論にどのような価値があるのだろう、とさえ感じてしまった。