篠塚和典だけが知っている「元気ハツラツ」中畑清の素顔「ミスターをかなり意識していた」
――プレー中も暗い表情は見せない? 篠塚 調子が悪くて打てなくても、守備でエラーしてしまっても、落ち込む姿は見せませんでしたね。打てない試合が続いてもいつも覇気がありましたし、「元気ハツラツな選手」という印象を、チームに対しても、ファンに対しても見せていました。 そういう意味では、ミスターをかなり意識していたのかもしれません。打てる・打てないは別として、「自分がこういうことをやれば、ファンは喜んでくれるだろう」とか。自分やチームがどんな状況の時でも常にポジティブでしたし、全力でプレーしていた印象があります。 ――当時はウォーレン・クロマティさんもいましたし、明るいキャラクターの選手がチームを牽引していたんですね。 篠塚 そうですね。中畑さんもクロウ(クロマティ氏の愛称)もチームのムードをよくしようとして、意識して明るく振舞っていたと思いますよ。ただ、先ほどもお話したように中畑さんは考え込むタイプなので、ミスしてしまった時なんかは常に反省していましたよね。だけど調子の悪さなどは表情にはほとんど出さない。そこは徹底していたと思います。 (中編につづく>>) 【プロフィール】 篠塚和典(しのづか・かずのり) 1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。
浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo