隣人が同性カップルだと、なぜ嫌なの? 「生きづらさ」強いる元首相秘書官の差別発言、G7サミットを機に本当に理解は進むのか
麻智さんは「元々は性的マイノリティーに対して嫌悪感があった人もいたかもしれないが、お互いをよく知った上でカミングアウトしたのでスムーズに受け入れてもらえたと思う」と話す。長女が生まれた後も、近所の人が子守を買って出てくれたり、飼い犬の散歩をしてくれたりと関係は良好だ。 ▽家族仲は良好、だからこそカミングアウトはしない 麻智さんとテレサさんは、自分たちの関係を明らかにした上で地域に溶け込んで暮らしているが、全ての同性愛者が同じように暮らしているわけではない。家族にも明かさず、周囲の目を気にしながら暮らすカップルも多く、実体が可視化しづらいのも事実だ。 大阪市のアパートでパートナーの男性と暮らす30代の男性は、自身がゲイであることは家族にも伝えていない。「親もニュースなどでLGBTQの存在は知っていると思うが、まさか自分の息子が当事者だとは思っていないだろう。家族仲が良いからこそ、関係を壊したくない」とこぼす。
男性は地方で生まれ育ち、進学を機に上京した。小さい頃から、周囲に過干渉な人が多い地元での暮らしに息苦しさを感じていたという。そうした人間関係から離れ、東京で暮らすようになって視野や交友関係もぐっと広がった。「もし地元で今のパートナーと暮らせるかと言われたら難しい。近所同士のつながりも強いし、子どもの頃から自分をよく知っている人たちにどう思われるか…」 性的少数者の権利擁護に取り組む認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」が2018~20年に、累計7162人に実施したアンケートによると、ゲイの人ら性的少数者の一部は異性愛者の男女に比べて1人暮らしの割合が高かった。法人のスタッフは「背景の一つには生まれ育った環境で、生きづらさを感じた経験があるのではないか」と分析。「都心部での1人暮らしになると近所付き合いも希薄になる。それが当事者の居心地の良さにもつながっている」と話す。 ▽周りにいるかもしれない当事者や同性婚賛成派…いつの間にか「裸の王様」に