こども文化科学館とこども図書館が入る建物

　広島市中央公園（中区）にあるこども図書館とこども文化科学館が入る複合施設のリニューアル計画で、市は近く設計業務に取りかかる。別にある青少年センターの機能の一部を移す一方、隣接地には世界的建築家の安藤忠雄さんが図書施設を整備する方針。子どもたちが使いやすいよう、機能の整理と適切な配置が市に求められる。 【画像】複合施設の主な配置【地図】こども図書館とこども文化科学館 　複合施設は1980年に開設した鉄筋4階地下1階建て延べ約5700平方メートル。市が示しているリニューアル後のフロアイメージでは、図書館機能を1階にまとめ、閲覧室や書庫を配置する。 　文化科学館は1、2階に展示ホールを設け、4階のプラネタリウムを残す。青少年センターからは音楽室を3階に移転。アポロホール（1階）や多目的室（2、3階）は共用機能に位置付ける。 　この計画とは別に、市は安藤さん側から打診され、複合施設の南側を候補地に「こども本の森」の建設に向けた協議を進めている。施設の詳細は未定だが、寄付を受けた場合、維持管理を担う。松井一実市長は先月の記者会見で「隣接しており、工夫の余地がある。子どもの読書環境の充実に向けて協議する」と話した。 　市が2月に来館者へ実施したアンケートでは、文化科学館の創作室とアマチュア無線室の存続や、図書館南側の閲覧室への窓の確保を求める声が寄せられた。青少年センターを巡っては現在地などでの建て替えを願う意見が最も多かった。 　一方、市は安藤さん側と水面下で協議を進めてきたため、こども本の森の整備、寄付については6月21日の市議会一般質問で初めて公表した。 　市民団体「こども図書館移転問題を考える市民の会」の吉田真佐枝さん（68）は「もう少し早く公表していれば、リニューアルで別の方策も考えられた。整備方針が固まる前に改めて市民の意見を幅広く聞いてほしい」と求めている。 　市は2020年3月に定めた中央公園の今後の活用に関する基本方針に基づき、複合施設の耐震化を伴うリニューアルを進める。24、25年度で設計し、26年度の着工、28年度の開館を目指す。事業費は概算30億円。施設の集約を条件に、事業費の90%のうち半分を国が地方交付税で補う事業債の活用を検討している。