圧倒的な破壊力で日米マット界を席巻した「皇帝戦士」ビッグバン・ベイダー
【レジェンド外国人レスラー伝】
圧倒的な巨体と破壊的なパワーを誇った「皇帝戦士」ビッグバン・ベイダー(本名レオン・アレン・ホワイト)は、最強外国人レスラーとしてマット界に君臨した。 【動画】猪木さんも見返して絶句した!「ビッグバン・ベイダー戦」試合前に猪木さんと交わした意外なやりとり。 アメリカ出身でありながら、ベイダーの活躍の場は日本のリングにも広がり、特に新日本プロレスでの闘いが伝説となっている。ベイダーの名を語る上で、まず外せないのがアントニオ猪木との一戦だ。 1987年12月、TPGの刺客としてベイダーは新日本プロレスの両国国技館大会で猪木と初めて対戦した。この試合で、ベイダーは試合開始からわずか数分で猪木を圧倒し、まさかの完勝を収めた。あのアントニオ猪木を倒したことで、会場は一瞬にして異様な空気に包まれ、激しいブーイングが飛び交った。 しかし、この結果こそがベイダーの強さを証明する瞬間であり、日本プロレス界に衝撃を与えた。猪木ファンの怒りは大きかったが、その一方でベイダーの圧倒的なパフォーマンスにより、新たな怪物が誕生した瞬間でもあった。 この試合は、プロレス史に残る大事件として語り継がれ、ベイダーのキャリアの大きな転換点となった。 その後、ベイダーは藤波辰爾や長州力といった日本のプロレス界を代表するレスラーたちとも次々に激戦を繰り広げていく。藤波との試合では、ベイダーのパワーに対抗する藤波の技巧派スタイルがぶつかり合い、プロレスの奥深さを感じさせる名勝負となった。 一方、長州力との闘いは、長州の根強い闘志とベイダーの圧倒的なパワーが激しく交錯し、ファンにとっては魂がぶつかり合うような激闘となった。特に長州力との試合では、両者の個性がぶつかり合い、その緊張感はリングを越えて観客を圧倒した。 そしてベイダーは「闘魂三銃士」武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也にとって高い壁となった。この時代、闘魂三銃士は新日本プロレスの未来を背負う存在として注目を集めており、特に橋本真也との試合は激戦の連続だった。橋本の強烈な蹴りや投げ技と、ベイダーのラフでパワフルなファイトスタイルが激突する試合は、両者の意地と闘志がぶつかり合うものとなり、観客の心に深く刻まれた。 また、ベイダーはクラッシャー・バンバン・ビガロと組んだタッグでも、その強さを発揮した。特に、スタイナーブラザーズとの対戦はプロレスファンの間で語り草となっている。ベイダーとビガロの巨漢タッグと、スタイナーズのアクロバティックな技術が激突する試合は、観客を興奮へと導いた。 新日本プロレスではベイダーはビガロとのタッグをはじめ、スコット・ノートンやドン・フライ、レッドブル軍団のサルマン・ハシミコフなどとの外国人エース対決でも新日本マットを沸かし続けた。 その他、角界から鳴り物入りでデビューした北尾光司を完膚なきまでに叩きのめし、トップ外国人レスラーの意地を示して見せた。 また1990年2月の東京ドーム大会では、IWGPヘビー級王者としてベイダーは当時の全日本プロレスのトップ外国人レスラーであった“不沈艦”スタン・ハンセンと壮絶な試合を展開。 試合中にハンセンのパンチがベイダーの顔面に当たり、ベイダーは自らマスクを脱ぐと腫れあがった右目が露わになった。眼窩底骨折の重傷を負ったベイダーはそのまま凄まじい試合を展開、最後は両者リングアウトとなったが、ベイダーの強靭な肉体と精神力を証明し、プロレス界の頂点に立つ資格を持つことを改めて示した。