レッドブルの時速350km超高速ドローン、F1有観客での安全性にハードル。中国GPとアメリカGPで一部使用できる?
F1はレッドブルが専門企業と共に開発した超高速で飛行しながら撮影が可能なドローンを活かせないか検討しているが、グランプリ週末に使用することは安全性の面から難しいようだ。 【動画】レッドブルの”F1マシンに迫る速さ”のドローンを支える技術 レッドブルは先日YouTubeチャンネルに、シルバーストン・サーキットを全開で走行するF1マシンに追随が可能なドローン“Red Bull Drone 1”によって撮影された映像を投稿。超高速のF1マシンを間近で撮影した映像には大いに注目が集まった。 レッドブルのアドバンスドテクノロジー部門はDutch Drone Godsと協力し、最高速350km/hを発揮し、100-300km/h加速はわずか2秒という驚異的な性能を誇るドローンを開発。シルバーストン・サーキットでRB20の全開走行を撮影したのだ。 この新ドローンによって撮影された映像は、これまでF1が公開してきたドローン撮影のものより、大きな進歩を感じさせるものだった。しかし、F1がこの新型ドローンを広範に使用するには、まだ多くの課題が残っているという。 F1のメディア・放送担当ディレクターを務めるディーン・ロックは、レッドブルやFIAと可能なことについて協議を行なってきたものの、有観客でこのドローンが使用される可能性は低いと考えを述べた。 「彼らが新型ドローンと共に行なったことは、非常に興味深い」とロックは言う。 「しかしあれはプライベートテストだ。つまり彼らは我々が守るべきルールの9割は守らなくてもいいんだ」 「我々は彼らと話し合っている。なにかできることはあるだろうか? あれを使ってなにができるだろうか?」 「(新型ドローンは)非常に高速だが、観客の上を飛ぶことはできないしコースを横断することもできない。加えて首を動かすことができないため、マシンに追従するか、横に移動する必要がある。実際、かなり難しいんだ」 「ドローンというものは一部のスポーツにとって素晴らしいものになっている。しかし我々にとっては、依然としてチャレンジングなモノだ」 「マシンの速度はとてつもなく速く、週末には40万人といった観客が集まるイベントを開催している。そのため、群衆の上を飛行しないのは相当に難しい」 「我々は取り組みを進めており、(バーレーンで)FIAとミーティングを行ない、様々なことについて話し合った」 「我々はドローンのスピードだけでなく、どれだけ軽くできるかのか? どれだけ小さくできるのか? といったことにも取り組んでいる。そうすればもし堕ちたとしても、我々に大きなモノでアプローチしてくる企業とは対称的に、ダメージは非常に小さいんだ」 なおロックはそういった制限がある中でも、レッドブルのドローンが活躍できる場所が、一部のサーキットにはある可能性を示唆した。 「中国GPのバックストレートやオースティン(アメリカGP)のバックストレートなどのように、彼らと話し合う予定のエリアもいくつか存在する」 また開発に携わったドローンパイロットのShaggyことラルフ・ホーゲンビルクは、今後は分からないものの、目標は実際のレースだと語った。 「ここから、実際にどこへ進んでいくことになるのかは分からない」 「しかし当然、目標は実際のレースかフリー走行などで、ライブ配信を行なう能力を持つことだ」 「何らかの方法でF1サーキットと組み合わせることだ。なぜならこれはそのために特別に作られたんだからね」
Jonathan Noble