「東京一極集中」のメリット・デメリット 論点は? 解決策は?
経済、政治、行政などの中核機能が集中
様々な分野の高次機能が集積するのも東京の特徴だ。港区、中央区、千代田区で構成される「都心3区(42.2平方キロメートル)」に日本を司る政治、行政、経済、情報、教育、文化などあらゆる分野の高次中枢機能が集中。そのこともあり、東京はGDP(国内総生産)の約2割、国税収入の約4割、株式取引高の約9割、本社・本店・外国企業の5割、情報サービス業(売上)の5割、銀行貸出残高の4割、商業販売額の3割を占有している。
例えば、オフィスの集中。この20年間、東京区部に年平均105万平方キロメートルのオフィスが供給され続けている。ここ数年をみても、地上35階建てでグーグルが入居する渋谷ストリーム(18年9月開業)、渋谷スクランブルスクエア(19年11月開業)などが新たにできた。 そして、今年も虎ノ門ヒルズビジネスタワー(仮称)が4月に開業するほか、みずほ銀行前本店ビルなどの三菱地所が手掛ける千代田区丸の内一丁目の3棟一体建て替えや、ソフトバンクグループ本社の入る予定のオフィスビル(港区)などが完成する予定で、今年だけで年間172万平方キロメートルも増えるとみられている。 有名大学も多く、全国の大学生の4割が首都圏に学び、多くがそのまま首都圏に就職する。テレビのキー局、大手の新聞、雑誌、出版社などの主要メディアも東京にあり、情報発信力が強い。地方産品すら東京経由で売れる。
ビッグプロジェクト目白押し
国は表向き「東京一極集中」の抑制・是正を掲げるが、実際は集中への仕掛けを次々と進めている。実際、東京都心には幾つもの国家戦略特区が指定されており、民間の大規模プロジェクトも目白押しだ。
9月に東京五輪・パラリンピックが終わると東京湾岸晴海ふ頭の「五輪選手村」は民間へ払い下げられる。50階建て超高層2棟を含む住宅マンション5650戸が売られ、これで中央区の人口は1万2000人増える。更にその近くに民間の超高層マンション5棟が建設中でやがて数万人増える。都心空洞化に悩んだ中央区は湾岸高層化ブームであと5年もすると20万人を超えそうだ。