虎のソナタ 人それぞれの「ベースボール記念日」 6・19甲子園の空には「ハロ」…吉兆の予感
虎番サブキャップの原田遼太郎は驚いた。甲子園球場の空を見上げると、太陽の周りを虹のような光の輪が囲んでいる。なんだ、この不思議な現象は。カメラマンも一斉にシャッターを押し始めた。 阪神の練習が始まってすぐの午前11時半くらいのこと。この光の輪は「ハロ」や「日暈(ひがさ)」というそうだ。太陽の光が、雲の中に含まれる氷の粒に当たって屈折することで起きる現象なので、天気が悪くなる前触れらしいのだが、原田の思いは違った。 「すごく神々しい光景だったので、タイガースにとって吉兆だと思いたいです」 そのタイガースを率いる岡田監督はというと、調子が上がらない森下に自ら熱血打撃指導を施していた。 「監督はハロ現象には気づかなかったんじゃないですか。それくらい、熱心に指導されていました」 原田もうなった。約3週間にわたって行われたセ・パ交流戦が終わったばかり。リーグ戦再開までの2日間を利用して、虎将は大山とゲラの1軍再昇格を決め、森下を指導してと、準備を怠らない。頭の中は野球のことで埋め尽くされている…はずなのだ。 そんな6月19日は「ベースボール記念日」だった。1846年のこの日に米ニュージャージー州ホーボーケンのエリシアン球場でニッカーボッカー・クラブ対ニューヨーク・ナインの試合が行われたのが、公式記録に残る最初のベースボールの試合なのだそうだ。日本では幕末の弘化3年。遠山の金さんが南町奉行だった頃で、黒船来航の7年前だ。 ニッカーボッカー・クラブというチームをつくったのが「現代野球の父」と称されるアレクサンダー・カートライト。1845年に通称ニッカーボッカー・ルールという野球規則を決めて文書化した人物だ。この規則に修正が加えられていって、現在に至っている。最初のルールでは、先に21点を取ったチームが勝ちだったので、「ベースボール記念日」の試合は4イニングでニューヨーク・ナインが23-1で勝利している。 ベースボールは1871(明治4)年に日本へ伝わり、のちに野球と訳された。広島県出身の原田は野球となると、今はなくなってしまった広島市民球場のことを思い出す。