パリ五輪のカギを握るNBAプレーヤー八村塁が「怪我回復」の渡邊雄太に記者会見で仕掛けた悪戯とは?
シーズン途中で古巣となるグリズリーズへ復帰し、日本人で最長となる6シーズン目を終えた2023-24シーズンをもって最高峰の舞台、NBAへの挑戦にピリオドを打った。新天地はまだ発表されていないものの、活躍の場を日本のBリーグに移す新シーズン以降も、代表へと通じる扉を自ら閉ざすことはないと明言した。 いま現在の渡邊の心境に、どのような変化が生じているのか。答えはともに壇上に勢ぞろいした、頼れる仲間たちの顔ぶれにある。 現時点でただ一人のNBAプレイヤーになった八村が東京五輪以来、ホーバス体制になってからは初めて代表に名を連ねた。東京五輪で敗退が決まった直後のロッカールーム。渡邊らとリベンジを誓い合ったという八村も、こんな言葉を残している。 「また日本代表としてプレーできる状況を誇りに思っている。NBAの舞台で培ってきた経験を、チームメイトや日本のみなさんに見せたい。攻撃でも守備でも、そしてリバウンドでも、プレーで引っ張っていきたいと思っている」 昨夏のW杯で渡邊の大きく、頼れる背中に引っ張られながら大活躍を演じた若手コンビ、河村勇輝(23、横浜ビー・コルセアーズ)と富永啓生(23、米ネブラスカ大卒)はパリ五輪後のNBA挑戦をすでに表明している。 富樫勇樹(30、千葉ジェッツ)は変わらぬキャプテンシーでチームを束ね、ベテランシューターの比江島慎(33、宇都宮ブレックス)も健在。身長208cmのビッグマン、ジョシュ・ホーキンソン(29、サンロッカーズ渋谷)も初の五輪に武者震いする。 「この12人のなかに選ばれたことを大変光栄に思っていますし、僕自身もこのチームのなかでは経験がある選手として、コートの内外でリーダーシップを発揮していきたい」 ホーバス・ヘッドコーチから、富樫を支える役割となる「コー・キャプテン」に任命されている渡邊は、開幕までカウントダウンに入ったパリ五輪へ闘志をみなぎらせながら、メディアや周囲から寄せられる「歴代最強」という言葉に首を傾げた。 「歴代最強とかそういう言い方を、周りのみなさんがしてくれるのは大変ありがたいと思っていますけど、実際に最強かどうかは結果が決める、と思っているので。現状でこのメンバーではまだ何も達成していないので、しっかりと結果を残した上で、終わった後にそういうふうに自分たちで言えるようなチームを作っていけたら」 チーム全員で共有している目標は、まだ一度も到達していないベスト8。間もなく渡欧するチームは五輪初戦でも対峙するW杯王者・ドイツ代表、強豪セルビア代表とともに敵地で強化試合を実施。27日にドイツ、30日に開催国フランス、8月2日にはブラジル各代表との予選ラウンドに臨むパリ五輪本番へ向けた最後の準備を進めていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)