「何がしたいのかよくわからない」意図が見えない松井宏佑の走りに、帝王・山田裕仁氏が苦言!/函館競輪G3・決勝レース解説
3名が勝ち上がった近畿勢は、古性選手が先頭。番手を回るのは三谷竜生選手(101期=奈良・36歳)で、3番手を東口善朋選手(85期=和歌山・44歳)が固めます。古性選手はこのシリーズでもっともデキのよさが感じられた選手で、勝ち上がりの過程ではオールラウンダーらしい、縦横無尽の動きをみせていました。どんな展開になっても攻めて位置を取りにくるので、本当に崩れないんですよね。 中国勢は、岩津裕介選手(87期=岡山・42歳)が前で、番手に棚橋勉選手(96期=岡山・43歳)という組み合わせ。この相手に自力勝負はとても挑めませんから、こちらは中団でうまく立ち回って展開をつくのが青写真となりそうです。そして、唯一の単騎が小倉竜二選手(77期=徳島・48歳)。主導権を奪うであろう東の混成ラインの直後につけられれば、展開が向いて単騎でも好勝負ができる可能性が十分にあります。 古性選手も自力勝負はできますが、松井選手と主導権を争って、前でもがき合うような展開は避けるはず。とはいえ、東の混成ラインを楽に逃がすと「二段駆け」に持ち込まれ、なすすべなく終わってしまうケースも考えられます。古性、松井の両者がどのように考え、どのようなレースを仕掛けてくるのか。その間隙をついて、オール1着で勝ち上がってきた岩津選手が食い込めるのか。そのあたりが「争点」となりそうですね。
号砲と同時に三谷竜生がいい飛び出し、近畿勢が前受け
それでは、決勝戦のレース回顧に入ります。レース開始を告げる号砲と同時に、いい飛び出しをみせたのが4番車の三谷選手。スタートを取りきって、近畿勢の前受けが決まります。松井選手が先頭である東の混成ラインはその後ろにつけていましたが、後から位置を主張してきた中国勢を前に入れて、後方6番手に。そして最後方に単騎の小倉選手というのが、初手の並びです。 どこで後方の松井選手が動き出すかと注目していましたが、青板(残り3周)では動きがなく、赤板(残り2周)を通過。松井選手が動いたのは赤板後の1センター手前からで、単騎の小倉選手もこれに連動して、外から4車で上がっていきます。バックストレッチに入ったところで松井選手が古性選手の前に出ますが、そのまま加速して一気に主導権を奪うのではなく、スピードを緩めて古性選手を外から「抑える」カタチとなりました。 しかし、打鐘を迎える直前のタイミングだと、古性選手にいったん下げるという選択肢はありません。合わせて踏んで郡司選手の内を併走し、松井選手の番手を「競る」態勢に持ち込みました。ここでレースは打鐘を迎えますが、その直後の3コーナーで、内の三谷選手が外の佐藤選手を張ってブロック。この動きに巻き込まれ、佐藤選手の後ろに下げようとしていた小倉選手が落車してしまいます。