これからの介護、じつは家族が通いやすい場所が一番よい…日本人の大半が誤解している「介護施設選び」の盲点
失敗しない介護施設の選び方・見極め方
ここまでで、どのような介護施設があるかざっと説明しました。次にどのような介護施設を選ぶかです。まず、介護保険を使うには、「介護認定」を受けなければ始まりません。 そのための「介護認定のコツ」や「施設料金に含まれるもの、含まれないもの」を知ることが大切ですが、ここでは「どのような施設を選べばいいのか」を中心にお話したいと思います。 まず、施設選びで重要なのは「施活」、つまり施設について色々調べたり、実際に見学をしたりして入所したい施設についてあらかじめ知ることです。本書のような介護ハウツー本を読んでおくこともそうですし、ご近所さんから施設の評判を聞いておくのも大切です。 とくに、「両親を何かあったらこの施設に入れたい(もしくはご自身が入りたい)」と思う特養や老健があれば、その施設のショートステイやデイ、訪問リハビリなどの在宅サービスを少しでもいいから使っておくことをおすすめします。 在宅介護中の方は、「何かあった時急にお願いできる」施設を持っておくということは、精神的安定のためにもとても大切ですので、ぜひそういう施設を見つけて「施活」しておいてください。 介護施設はについて、好みや希望条件は人それぞれですので、万人に合う施設はありません。条件すべてを満たす施設を探すのもまた難しいでしょう。 そこで、施設選びの第一条件として、ご家族が通いやすい場所を選んでください。できればキーパーソンの家の近所がいいです。 ご本人が慣れ親しんだ地域を離れたくない、とよくおっしゃいますが、施設に入所した後、ひとりで外出できないレベルであれば、あまり考えなくていいと思います。 ただ、方言や風習があまりに違う地域で入所すると大変かもしれません。ずっと東京で育った方が大阪の施設に入所して、言葉の違いにびっくりしてなじめず東京に帰った話を聞いたことがあります。 高齢者はいつまでも元気ではありません。入退院を繰り返すことがよくあります。いくら施設に預けていても、いざ入院だ治療だとなると、やはりご家族が駆けつける必要があります。年齢を重ねるほど、ご家族が行かないといけない場面が増えるので、ご家族が行きやすい場所を選ぶというのは重要です。 それでは、いざ施設に入るとなるタイミングはいつかについて「医師が教える…介護問題、家族が施設に入れるタイミングで、じつは「やってはいけない」こと《主体者は誰か》を考える」(10月28日公開)でお話したいと思います。
田口 真子