ロス五輪の新種目・フラッグフットボール。日本女子代表は世界3位の実力がある!
3位決定戦の相手はオーストリアだった。 「メキシコ戦から大きく変えた部分はなかったんですが、私としては〝勝てる自信〟しかありませんでした。それはまったく根拠のない自信なんですが、観客席で応援してくれている人たちの声がすごく力になったし、そんな私の根拠のない自信がほかの選手にも伝わっていたのかもしれません。 あの試合は『3位にならなくては』というプレッシャーはまったくなくて、本当に楽しんでプレーしていました。 実はフラッグフットボールの女子は、アメリカが断トツに強くて、2位以下の実力は本当に僅差なんです。ですから、今回の大会に向けて練習をたくさんしてきました。代表チームとしては4ヵ月くらいやってきたんです。たぶん、どの国よりも練習したと思います」 もしかしたら、どの国よりも練習してきたという思いが近江選手の〝勝てる自信〟につながったのかもしれない。 世界を相手に戦っていると、体格の差で不利になることはないのだろうか。 「個人的には、体格の差があってもスピードで負けなければ全然問題ないと思います。私が走っている前にボールを投げてもらえれば、相手選手は背が高くても触れないし、私が相手より早くボールを取ればいいわけですから。 一方で、守備のときには相手選手の背が高いとボールが通りやすくなります。そういう点では不利かもしれません。でも、相手の身長が高いということはフラッグのある位置も高いので取りやすいんです。 逆に身長の低い日本チームのフラッグは、相手の高身長の選手はかがまなくてはいけないので取りにくいという面もあります。 体格の差は確かにありますが、スピードだったり、作戦だったり、それ以外の部分で補えるところがたくさんあると思います」 世界選手権で3位になったことで、日本チームは来年行なわれる「ワールドゲームズ」の出場権を得た。 「ワールドゲームズでは、ベンチに入れる選手が12人から10人になります。日本チームは攻撃専門の選手が5人、守備専門の選手が5人と分かれるのですが、もし、ひとりでもケガをしたら、例えば攻撃専門の選手が守備をすることになります。 ですから、チームとしては攻撃も守備もできる選手が必要になってきます。メインポジションのほかにセカンドポジションもできるようになる。それが当面の課題かもしれません」 実は、近江選手は年内にアメリカに渡り、現地のクラブチームでプレーする予定があるという。 「今年の4月に一度、ロサンゼルスに行ったんですが、フラッグフットボールの試合を毎晩のようにやっているんです。やはり試合経験を増やしたいですし、断トツに強いアメリカで技術を学びたいと思っています」 最後に改めてフラッグフットボールの魅力を聞いた。 「毎回、いろいろな方に聞かれるので、いろいろ考えるんですけど、私が一番楽しいと思うのは、フラッグフットボールにはたくさんの作戦や戦術があって、それを相手に合わせてどう使おうかと考えているときです。ですから、見ている方に『あ、今度はこんな作戦で来たか』と楽しんでもらえるとうれしいです」 4年後、女子日本代表チームの胸には、今回と違った色のメダルがかけられているかもしれない。 取材・文/村上隆保 撮影/村上庄吾(インタビュー) 写真/日本アメリカンフットボール協会(試合)