最高時速110km! 中国製電動キックボードは「日本の高速道路」を爆走できるのか? 法規制と技術革新の狭間で考える
高出力車両の課題
現在、日本国内で販売されている高出力の電動キックボードは、主に小型自動二輪車区分に該当する製品に限られている。しかし、それ以上の出力を持ち、普通自動二輪車に該当する電動キックボードの場合、高速道路を走行できるかどうかという新たな問題が発生する。 仮に、警察庁の規制(定格出力や保安部品の搭載など)を満たした普通自動二輪車区分の電動キックボードがあった場合、それが高速道路を走行できるかは不明だ。阪神高速は次のように見解を示している。 「阪神高速道路への原付・自転車・歩行者の進入は禁止されており、電動キックボードでの走行も同様に禁止されております。電動キックボードで高速道路を走行することは、自動車と衝突のおそれがあり、大変危険です(中略)万が一、電動キックボードの乗車中に誤って高速道路に進入してしまった場合には、引き返さずに安全な場所へ移動・停車し、道路緊急ダイヤル「#9910」(通話料無料)へご連絡ください」(阪神高速公式サイト) この記述から注目すべき点は、車両区分に関する具体的な言及がないことだ。これは、普通自動二輪車区分の電動キックボードを想定していない可能性と、車両区分に関係なく電動キックボードの進入を禁止している可能性が考えられるが、後者の方が現実的だろう。 電動キックボードが時速100kmで公道を走行した場合の安全性については、まだデータがなく、不明な点が多いため、現時点で高速道路の管理者が高出力の電動キックボードの走行を認めることは現実的ではない。
電動キックボードの未来
筆者(澤田真一、ライター)が以前執筆した電動スーツケースに関する記事と同様の構図が見受けられる。 空港内は私有地であり、道路交通法の適用外となる。しかし、日本の主要5空港(成田、羽田、中部、関西、福岡)では、「施設内での電動スーツケース走行禁止」を掲げており、これは法律に代わって管理者が独自の規約を設けている形だ。 詳細については、当媒体の「中国人留学生を書類送検! 「電動スーツケース」は日本で普及するのか? その規制と課題に迫る」(2024年11月4日配信)をご覧いただきたい。 このような背景から、日本では大出力電動キックボードの走行についても、今後一定の制限が続くと予想される。
澤田真一(ライター)