初来日した“コアラフィーバー”から40年…繁殖成功までの苦闘の日々 故郷・豪州では「絶滅の危機」
中でも赤ちゃんの出産には特に神経を使い、母親のわずかな兆候も見逃さないよう行動観察を続けた。 こうした努力が実を結び、1986年4月、雄のコロコロと雌のブルーの間に「ハッピー」が誕生し、日本で初めての繁殖に成功した。
佐藤さん: 「めちゃうれしかったですね、コアラは有袋類ですから、袋の中で赤ちゃんが育ちます。お腹の袋の所が少し動くというのは前々からわかっていたんですけど、実際に袋から顔を出した瞬間というのは何とも言えない感じがありました」 40年経った現在も16台のカメラで24時間録画し、コアラの健康状態や発情のサインをチェックしている。コアラは夜行性で、夜どれぐらい動くかで発情のサインがわかるため、翌日に収録された映像をチェックしているという。
東山動植物園ではこれまでに55頭のコアラが誕生。
2023年10月に生まれた「もなか」も、およそ1年で見た目では大人と変わらないほどに成長した。
■天候や災害でも供給続けられるように…コアラの命支える「ユーカリ」
コアラには餌となるユーカリが欠かせない。必要なユーカリの大部分は東山動植物園の近くにある、平和公園で栽培している。 平和公園には、およそ4ヘクタールの敷地に1万本のユーカリが植えられている。 コアラの好みや体調に合わせられるよう27種類のユーカリが育てられ、東山動植物園のコアラが一番好きな品種は「プンクタータ」だという。
コアラは水をほとんど飲まず、ユーカリから水分をとる。瑞々しく、柔らかい新芽を好むため一年中、新芽を供給できるように5月から12月は露地で、12月から5月はハウスで育てたものを与えている。
平和公園の他にも、静岡、沖縄、鹿児島でもユーカリを栽培し、天候や災害のリスクに備えている。 ユーカリ栽培の担当者: 「ユーカリってすごく柔らかい木なんですね。成長が早いので、台風とか雪で結構被害が出たりするんです。平和公園だけだと、どうしてもコアラのエサを確保できない、そういう状況にならないように、もし名古屋に何かあった時は静岡の割合を増やすというふうに、毎日コアラにエサを欠かさないようにしています」