イタリア発 本田報道の真贋はどう見極めるか?
“クラブの地元ローマにいて、狂信的かつ行動力のあるサポーターなら、会長を追跡して逐一動きをアップすることも可能か”といった想像を働かせなかったわけではない。ただ、一見巧妙に作られてはいるが、やはり報道機関的スタンスとして見た場合、彼らのサイトは情報源としてあまりに稚拙で、到底信用に足るものではなかった。 情報の裏づけは取れるはずがなかったのに、日本で表に出てしまった。現在、そのサイト上で本田に関する記事は削除されている。 ロシア市場で売買を行うイタリア人ビジネスマンは、双方ともに英語が堪能でも、ロシア語に精通した同胞の通訳を必ず雇う。話し合いの間に漏れてくる相手方同士のやり取りを聞き取って、少しでも交渉を有利に進めるためだ。 イタリア発の情報の真贋を見極めるのは、当事者であるクラブのフロントにとっても難題だ。 あくまで私見だが、ミラノ勢に関する情報の精度を求めるなら『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が群を抜く。ローマやラツィオ、ナポリなどの南部勢に関する情報量なら『コッリエレ・デッロ・スポルト』が一番だ。地球の裏側から、ユヴェントス新獲得FWの年俸が知りたければ、『トゥットスポルト』のサイトを見るのが近道だ。 乱立する現地ネットメディアは、既存の大手紙媒体が運営するものと新進の後発組に分かれる。後者は、取材体勢やその能力に明らかなハンデがあり、情報の精度では既存の大手メディアに及ばない。その分、利害関係にある選手の代理人や取り巻きによる観測希望的なコメントや記事が多くなるので注意が必要だ。 玉石混交の情報の中から、キラリと光る本物の情報を発見するのは積み重ねた知識や経験だ。7日付の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、本田のミラン移籍を「100%」と断じている。 (文責・弓削高志/イタリア在住スポーツライター)