オリエンタル鋼業、加工品質向上と操業効率化・環境対策にも注力。DXツールも活用
豊通鉄鋼販売の100%出資で北陸地区有力コイルセンターのオリエンタル鋼業(本社・富山県射水市、社長・桐谷昌二氏)は、加工品質の向上と操業・事務処理効率化と合わせ、工場の環境対策にも注力している。老朽化した設備のリプレースのほか、DXツールなども活用。CO2削減など環境面への対策も行っている。 同社は1968年にオリエンタルチエン工業とトーメンの共同出資で設立。2006年に豊田通商とトーメンが合併したことで豊田通商100%子会社になり、18年4月に豊通鉄鋼販売100%子会社となる。建機、工作・産業機械、地場特約店向け店売り販売など非自動車分野が売上げ全体の75%超を占める。北陸で唯一板厚6ミリまでのレベラー加工が可能。月間扱い数量は加工と在庫合わせて約6千トンで、売上高規模は約65億円(23年3月期実績)。 16年4月に自販事業を豊通鉄鋼販売に移管し、鋼板加工に特化。22年5月には同社の販売事業を担当する豊通鉄鋼販売の営業スタッフ8人全員がオリエンタル鋼業の事務所に移転。顧客情報やラインの稼働状況の共有、事務処理の効率化などを製販一体で行っている。 「地域特性上、今後急激に需要が増える環境ではない。同業者とのすみ分けもできており、数量よりも自社の加工品質をしっかり高めていく」(桐谷社長)方針から、製造現場にさまざまなてこ入れを行っている。 工場にはシャーリングマシンが5台あったが、そのうち老朽化した3台を昨年8月初旬に廃棄。アマダ製の1台をリプレースして計3台体制にした。最大板厚6ミリまでの加工が可能。 豊田通商はグループでGHG(Greenhouse gas)排出量を2030年までに19年比50%削減を目標に掲げている。オリエンタル鋼業では操業の効率化、CO2削減や脱炭素にもつながる取り組みとして、GHGシステムを導入。工場の設備・ラインごとに使用している電力を細かく計測して〝見える化〟するもので、事務所の使用電力なども含めて一元管理。データから無理や無駄を把握し、分析したうえで今期以降具体的な対策を講じる。今後は、工場内照明のLED化のほか、工場屋根に約750平方メートルの太陽光発電設備や蓄電池も導入し、「電力消費量削減と再生可能エネルギー活用の2本柱でカーボンニュートラル(CN)を目指す」(同)。 DXツールの導入は親会社である豊通鉄鋼販売のIT専門スタッフらと協業で行っている。スリッターラインの刃組みの段取りや梱包など工場内作業をモニター化したり発注業務などでのペーパーレス化を進める。 22年度にはナンバー2レベラーラインに「稼働アップNavi」システムを導入した。専用無線により、設備の稼働状況を見える化。工事不要で、センサーやPLC(Programmable Logic Controller)などから収集した設備の情報を可視化し改善に必要な情報に解析する。生産計画に対する進捗やラインの停止状況、段取り代えに要している時間なども把握できる。ライン操業の効率化に一定の効果を上げており、ナンバー1レベラー、スリッターラインなど他の設備にも導入済み。集めたデータを今期以降分析し改善に繋げていく。 今年1月26日、JFEスチールの原守良常務執行役員が現地を視察。桐谷社長らがCN施策、DX活動などを説明し、グリーンでクリーンなコイルセンターにするための各種取り組みが高評価された。 同社では工場の操業環境などを整備して安全とコンプライアンスを担保しながら、今後もさまざまな角度から品質向上や環境対策を講じていく方針だ。