「King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME」リリース記念! PMC Vol.32よりKing Gnu 勢喜遊(Dr)のインタビューを限定公開!
――こういった大きなツアーに向かうにあたって、プレッシャーみたいなものもあまりないんですか。 勢喜 体調管理をするというところだけですかね? そこはメンバー全員が気を遣っていたことで、緊張感はあったと思うんですけど。それ以外、僕自身は、今回、何も考えないようにしようと思って臨んだんですけど。 ――何も考えない? 勢喜 そうですね。今回、ツアーに入る前から、バンドとしての手応えがすごくあったし、ドームツアーは、初日の京セラドーム大阪をはじめ、最初の数本でバンドとして強くなったなという印象があったんですよ。今までの東京ドーム公演とかスタジアムツアーのときは、例えば、ライブの録音を聴いて、修正点をいろいろ試して、外音とミックスとか、そういうのをちゃんと修正しようって、結構いっぱいいっぱいでやっていたんですけど、今回は普通に波に乗れたというか。 ――それは、2022年の東京ドーム公演や2023年のスタジアムツアーのような大きな公演を経て、余裕が生まれてきたみたいなことですか。 勢喜 バンドが強くなったきっかけみたいなものって、一つ一つ積み上げたものによると思うし、段階的な感じだから、これっていうポイントはない気はするけど。自分自身に関していうと、余裕が生まれてきたのもありますけど、自分で余裕を持たせようとしたっていうのもあるんです。今回のドームツアーは、アルバム『THE GREATEST UNKNOWN』のツアーで、演出もしっかりコンセプチュアルなものが入っていたっていうのも大きいのかな。ステージの上では、「King Gnuである」っていうことに一番力を使ったというか、そのために選択する、そういう感じだったんですよ。 ――「King Gnuである」ってどういうことでしょう? 勢喜 難しいですね。 ――先ほど、ベースの新井(和輝)さんのインタビューだったんですが、勢喜さんは、生ドラムから電子ドラムでやるという選択をバンドのために、また、ステージコンセプトのためにしたとうかがいました。 勢喜 ね。そこは、結構細かい話になっちゃうんですけど。 ――電子ドラムにすることで、生音の反響防止のために立てていたアクリル板がなくなって、ステージのコンセプトへの影響がなくなり、勢喜さんの見え方もずいぶん変わりましたよね。 勢喜 それもそうだし、自分にとって印象が強かったのは、特に、今回、常田(大希)とコミュニケーションを取る機会が多かったかなっていうことかな。 ――メンバーがドラムのほうに寄っていくシーンも観られましたね。PMCの表紙にハマる写真のイメージを考えながら、みんながぎゅっと集まるシーンを意識的に観ていたのもありますが(笑)、勢喜さんのところにみんなが集まっていくシーンは印象的でした。 勢喜 うんうん。これまで、ドラムの周りにあったアクリル板が、今回のツアーからなくなっているから、メンバーを近く感じるというのもあったかもしれない。でも、(井口)サトルだけ来ないんですよ。楽器を持って動けないから。 ――そういう演出面やビジュアル面で、バンド感がより前面に出るということで、メリットがとても多いとはいえ、電子ドラムに変える選択ってかなり大きな決断ですよね? 勢喜 どうかな。どうするかってときに、「それってドラマーとしてどうなんだ?」みたいなことは考えなかったんですよ。なんていうか……そういうエゴは捨てられたというか。今回は、ステージの上で、バンドのためになることを選択できているんですけど、そういうのも自然にできた。今回のツアーに向かう自分の感覚にも近いと思うんです。 ――「King Gnuである」ためにですよね。やっぱりドームのステージ上に、この4人だけで上がって、しかも、メインステージだけで、ロックバンドのライブをやっているのって普通にないですし、4人がステージの上で誰一人欠かせない存在になっているライブだったと思ったんですよね。 勢喜 そうそうそう。4人でやることにおいての一番いい選択ができた。確かにそれはでかいっちゃでかいかもしれないですね。うん。