「長年闘ってきた活動にようやく光が」産婦人科医の注射から逃げ帰った女性 優生保護法の最高裁判決に 富山
旧優生保護法により不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めていた裁判で、最高裁大法廷は3日、憲法に違反するとして国に賠償を命じる判決を言い渡しました。富山県内で被害の実態解明や被害者救済を訴えてきた脳性まひの河上千鶴子さんは「被害にあった人でもなかなか周りに言えず『障害者だから仕方がない』と訴えることができなかったことを改めて国が認め、責任を取って欲しいと強く思います」とコメントしました。 【写真を見る】「長年闘ってきた活動にようやく光が」産婦人科医の注射から逃げ帰った女性 優生保護法の最高裁判決に 富山 裁判の最大の争点は、不法行為から20年経つと賠償を求められなくなる「除斥期間」と呼ばれる規定を適用するかどうかでした。 裁判長は「除斥期間の経過により国が賠償を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することはできない」としました。 河上千鶴子さん「今日の判決を聞いて、本当にうれしく思いました。私は原告ではないけど、一歩間違えれば被害者になった可能性があったからです。長年闘ってきた活動にようやく光が見えた感じがしています。除斥期間(時の壁)が障害になっていたため、ずいぶん苦しめられてきました。もっと早くこういう判決が出ていれば、多くの被害者が助かっていたと思います」 ■小さな命守るため、ここから「逃げよう」 河上千鶴子さんは生後まもなく脳性まひとなり、身体が不自由です。若い頃から障害者の権利を訴える活動を行っていて、20代で夫の和雄さんと出会い1981年に結婚。和雄さんは健常者で、どちらの両親も、2人の結婚には反対でした。 夫 和雄さん「うちらとしては子どもができたら反対せんだろうというある種の策略があって、“できちゃった結婚” にしちゃったんです」 小さな命を授かった千鶴子さんが、ある産婦人科病院を受診したところ、医師は「前の医者は産んでいいと言ったんか」「産まれてもいい子できないのに」と言って、千鶴子さんは何の説明もなく注射を打たれそうになりました。 その時、ちょうど他の患者のお産が始まって、医師は診察室を出ていきました。そこへ外に出ていた夫の和雄さんが診察室に戻り、全身硬直する千鶴子さんをみて、小さな命に迫る “危機” に気づいたのです。