トランプ氏の米大統領選圧勝、「ゴルフ界の内戦が終了に向かうのでは」という声が上がる理由【武川玲子コラム】
◇米ツアー見聞録 世界中が注目した米大統領選はドナルド・トランプ氏が圧勝。これにより「ゴルフ界の内戦が終了に向かうのでは」という楽観的な声が上がった。 ◆流血のトランプ前大統領、星条旗をバックに拳を上げる【写真】 サウジアラビアの政府系ファンド、PIFが全面的に支援する超高額賞金の「LIVゴルフ」がスタートした2022年以降、米PGAツアーは対立を深めてきた。23年6月にそのPIFとの「合意の骨組み」を電撃的に発表したPGAツアーだが、それから1年半たった現在もまだ「合意」には至っていない。 先週、欧州ツアーに参戦していたロリー・マキロイ(英国)は「トランプ大統領が再び誕生することで大きく進展する」と合意に期待をかけたが、その意見には賛否両論、米メディアの一部からは批判の声も上がっている。 大のゴルフ好きとして知られるトランプ氏はサウジアラビアとは非常に近い関係で、トランプ氏が所有するコースでLIVゴルフの大会も開催されている。トランプ氏自身も「私が仲介すれは15分で解決する」と発言している。 マキロイは合意への障害の一つに、米司法省のPGAツアーに対する「独占禁止法違反」への危惧から「合意」には前向きではないことを挙げ「トランプ大統領になれば方針が転換され、道が開けるかもしれない」と主張した。 さらにマキロイはテスラの創業者、イーロン・マスク氏がトランプ陣営に入ることを称賛、「世界で最も賢い人材の一人。彼がゴルフ界に協力すれば何かが起きるかもしれない」と期待した。が、これらのマキロイの発言には米メディアから「政治的な不安がある中で、ゴルフ界のトップ選手の利権だけを考えた軽はずみな発言」と批判が起きている。 今後、米国では26年にサッカーのW杯、28年にロサンゼルス五輪の開催を控えている。トランスジェンダー問題に厳しい姿勢のトランプ氏が大統領になることは、ゴルフだけではなくスポーツ界に大きな影響をもたらすことになりそうだ。(全米ゴルフ記者協会会員)
中日スポーツ