伸びる「機能性表示食品」市場 トクホからシフト進む?
健康食品 (保健機能食品)のうち、“腸内環境を改善”、“内臓脂肪が気になる方に適している”といった食品の効果を示した「機能性表示食品」の市場が伸びています。健康食品では「トクホ(特定保健用食品)」が知られていますが、審査が厳しく、認可に時間がかかるのに対し、機能性食品は届け出制のためハードルが低く、「今後食品メーカーはトクホから機能性表示食品にシフトしていく」との見方が広がっており、2016年の市場規模は前年の2倍以上になるとみられています。 【写真】トクホと違う?「機能性表示食品」 安全性はどう担保
2016年の市場規模は2倍の試算
機能性表示食品は2015年4月から導入された制度で、メーカーの責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。この制度では、メーカーは消費者庁に安全性や機能性の根拠となる情報を届け出ますが、同庁の「審査」を受ける必要がありません。約1年間で約100企業の申請が受理されました。トクホは消費者庁が「許可」するもので、1991年から導入されています。しかし費用や時間がかかるという批判や、研究開発費に余裕のない中小企業などの参入が難しいという指摘も出ていました。 富士経済の調べによると、機能性表示食品の2015年の市場見込みは303億円で、2016年はその2倍以上となる699億円に膨らむとみており、「届け出受理待ちで発売を控えている商品を考慮すると予測値を大幅に上回るとみられる」と指摘しています。一方、2015年のトクホ市場は3862億円でしたが、2016年は機能性へのシフトが予測されることから、6年ぶりにマイナスになると分析しています。
「腸内環境を改善」「内臓脂肪を減少」
江崎グリコは昨年9月から、ヨーグルト食品「朝食BifiXヨーグルト」シリーズ4品を機能性表示食品として発売。今年4月からはさらに7品を追加し、新CM放送を展開するなど力を入れています。同シリーズはグリコが発見した独自のビフィズス菌「BifiX」を含んでおり、「BifiXは生きて腸まで届き、増殖することで、腸内環境を改善」といった表示をしています。 Mizkan(ミツカン)も昨年から「ブルーベリー黒酢」など黒酢飲料8品目を機能性表示食品に切り替えました。こちらは「酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されており、内臓脂肪が気になる方に適している」という内容を表示。黒酢人気もあって店頭では品薄感が出る人気といいます。