【子どものチック症】目をパチパチ、首を振る “脳の異常”が原因? 精神科医が治療法と親への理解を解説
教員の理解と適切な対応が重要
チック症の子どもたちが学校生活を送る上で、教員の理解と適切な対応は非常に重要です。まず、チックについて正しく理解することが大切です。チックは本人の意思でコントロールできるものではないことを、教職員全員が認識する必要があります。 次に、不必要な注目を避けることが重要です。チックに対して過剰に反応したり、注意したりすることは避けるべきです。むしろ、自然な態度で接することが、子どもの心理的負担を軽減します。 また、必要に応じて休憩時間を設けることも効果的です。チックが強くなったときに、一時的に別室で休憩できるような配慮があると良いでしょう。ただし、これが特別扱いと受け取られないよう、さりげなく行うことが大切です。 いじめ防止も重要な課題です。チックについてクラスメイトに適切に説明し、いじめやからかいを防止することが必要です。この際、チック症の子どもの了承を得た上で、クラス全体に対して思いやりの心の大切さを伝えることが効果的です。 最後に、学習面でのサポートも考慮すべきです。チックによって筆記や読書に困難がある場合は、適切な支援を検討しましょう。例えば、テストの時間を少し延長したり、別室での受験を認めたりするなどの配慮が考えられます。 これらのサポートを通じて、チック症の子どもたちが安心して学校生活を送り、自己肯定感を高めながら成長できる環境を整えることが重要です。教員、保護者、そして子ども自身が協力して、最適な支援方法を見つけていく姿勢が大切です。 チック症は脳の働き方の個性の一つだと私は考えています。チックがあっても、多くの子どもたちは健康に成長し、充実した人生を送っています。 ただ、1年以上症状が続き、日常生活に支障がある場合は、薬物療法を含めた積極的な治療を検討することをお勧めします。うまく薬が合えば、症状が劇的に改善することもしばしばあります。 また、漢方薬による治療はハードルも低く、早期に検討されるのも良いと思います。抑肝散などの漢方薬は、歴史的に子どもにもよく使われています。もともと抑肝散は子どものために処方されたものです。チックの症状改善に効果がある場合があります。西洋医学的な薬物療法に抵抗がある場合のほか、軽度のチック症状に対して、漢方薬は試してみる価値があるものだということをお伝えしておきます。 今後ともチック症の子どもたちとその家族が、希望を持って前を向いて歩んでいけるよう、医療従事者として今後も支援を続けていきたいと考えています。
オトナンサー編集部