元“ヤマンバ”ギャルの37歳女性が“未婚の母”を選んだ理由「シングルマザーだって楽しく生きていける」
仲間との諍いや掲示板での誹謗中傷…きょんさんを変えた人生の転換期
きょんさんは周囲の目を気にするタイプだったという。 「元々ネガティブな性格で、常に最悪のことを考えて生きちゃう人間なんです。街を歩いてて人がこっちを見てたりすると(私ってやばいやつなのかな)って気にしちゃう。めっちゃ勘繰ります。そういう性格だからギャル時代のブログは闇(病み)日記になってました(笑)」 そんなきょんさんにとってアンジェリークに加入したことが人生の転換期となった。“人に媚びない”というサークルの方針から受けた影響だけでなく、まるでビジネスマンのような仕事を任されるサークル活動、仲間同士のいざこざ、メディアへの出演、街を歩けば同世代のギャルから握手を求められる生活……そうした経験が彼女を少しずつ変えていったのだ。 「サークルにいた頃は色々ありました。仲間との間で問題が起きたこともあるし、『雑誌話』って掲示板にあることないこと書かれたこともあって。それでメンタルがやられてた時期もあったんですけど、そういう経験を重ねるにつれて強くなった気がします。くだらないことを書くやつなんてどうでもいいと思えるようにもなりましたね」 困難を乗り越えていくなかで、これからはひとりでもやっていけるという自信が芽生えていったそう。きょんさんは20歳でアンジェリークを卒業。同時にギャルスタイルもやめた。 「髪を暗くして化粧を薄くして。なんでだろうな……自然な流れでそうしてたんですよね。きっとそれまでは“盛る”ということにどこかで頼ってたんだと思います。卒業を決めたときにはギャルの見た目にならなくてもやっていけるという自信がありました」 卒業後、きょんさんは人材派遣のコールセンターでリーダーに就く。仕事にはやりがいを感じ、生活や将来への不安はなかったという。それもまたサークルで社会人スキルを培ってきたからかもしれない、ときょんさんは語る。
好きだった人からのプロポーズ、第一子誕生。幸せな生活の影で生まれた歪み
そして22歳で当時交際していた男性と結婚。ずっと好きだった人からのプロポーズ、断る理由はなかった。1年半後には彼との間に第一子となる長女が誕生。子どもが大好きなきょんさんはすっかり溺愛し、育児に励んだ。我が子との生活は何よりも幸せだった。 幸せの絶頂……のはずだった。しかし、子どもへの愛が深まる一方で、夫婦関係は少しずつ歪み始める。 「いつの間にか当時の夫とは言い合いが絶えなくなってました。相手が投げかけてくる言葉も日に日にひどくなっていって。でも相手がそうなってしまうのは私のせいだと思ってたんです。そのときは関係を修復する方法ばかり考えてました」 そんな努力むなしく、何を試してみても夫との関係は悪化していくばかり。きょんさんの思いとは裏腹に溝はどんどん深まってしまう。もうどうしたらいいのかわからなくなっていた。 しかし離婚について考えたことはなかったという。決して不幸というわけではない。子どもとの生活は楽しい。夫との関係だって私が変われば何とかなるかもしれない……きょんさんはそう思いながら夫婦生活を数年続けていた。 だが、自身でも気づかないうちに心は確実に追い込まれていた。 「ある日、お世話になってる先輩に夫とのことをポロッとこぼしてしまって。私、悩みを人に話せるタイプじゃないんですけど、そのときは自然に出ちゃったんですよね。そしたらその先輩が「それは離婚してもいいんじゃない。別れたらもっと楽しい人生が待ってるよ」と言ってくれたんです。それでようやくハッとしたというか」 離婚という選択肢があるのか――信頼のおける人からの言葉はまさに青天霹靂。世界が一気に広がって見えたという。先輩の言葉をきっかけに、きょんさんは一歩踏み出すことに決めた。 そうなればもう早い。それから1ヶ月も経たないうちに夫と別れ、シングルマザーとしての生活をスタートさせた。 「子どものためなら何でもできるという気持ちでした。生活への不安は一切なくて、自分だけの方がやっていけるわ!って感じで(笑)。むしろ離婚を決める前の方が悩んでたと思います。当時は育児に専念していたので家庭が社会のすべてになってたんですよね。こういうときこそ誰かに相談してみることって大事だなと思いました」 シングルマザーになることを恐れる必要はない。自身の経験からそう気づいたきょんさんは、初めからシングルマザーを選択する道があってもいいのではないかと考えるようになる。