面をかぶった男衆がサカキを持って大暴れ 家に落とされたサカキの葉は縁起物に 出雲市大社町で悪霊退散を願う恒例行事「シャギリ」 島根県
北前船の寄港地で栄えた島根県出雲市大社町鷺浦に伝わる正月恒例の行事「シャギリ」がこのほどあり、面をかぶった住民らが地区を練り歩き、民家で舞って悪霊退散を願った。 【動画】大声を出しながらサカキを振って暴れる柴面の男衆
地元の伊奈西波岐(いなせはぎ)神社に集まった中学生から70代までの住民や帰省者ら約50人が装束をまとい、神様を表す本面や、鬼のような柴面をかぶって出発した。 一行は笛や太鼓、かけ声に合わせて舞いながら地区内を歩いた後、各戸を訪問。軒先で住人が迎え、まず、柴面の男衆がサカキを持って家に上がり、大声を出しながらサカキを振って暴れた。その後、本面をかぶった「神様」が玄関先で舞って清めた。柴面が怖くて泣きそうな子もいた。 柴面が家に落としたサカキの葉は縁起物として、各戸で一晩片付けずに取っておくのが習わしという。自宅で一行を迎えた熊谷千代子さん(86)は「これがないと一年が始まらない。良い年になりそう」と笑顔を見せた。行事を手がける鷺浦行事保存会の岡和敏会長(75)は「地区が活気づいて良かった」と話した。 保存会によると、鷺浦のシャギリは北前船が出入りした江戸時代から伝わる。新型コロナウイルス禍の中断を経て昨年復活した。