早稲田大教授による「座りすぎ」の怖い話。1日の6割は座位状態で過ごす現代人
座りすぎは生産性と“やる気”も削ぐ
座りすぎはメンタルヘルスに影響を及ぼすだけではない。 仕事中の座位行動の割合と生産性、ワークエンゲージメント(仕事への熱意)の関連を調査したデータ※では、就業中の座位時間が長いグループは、そうでないグループと比較して約40パーセントも「生産性が下がる」と回答している。 また就業中の座位時間が長いグループは、そうでないグループと比較し「仕事から活力を得られていない」と回答した人が43パーセントも多かったという。 つまり、座っている時間が長くなると、生産性が落ちるばかりか、仕事への活力も奪ってしまうということが言えるだろう。 ※Ishii K et al. J Occup Environ Med, 2018
アクティビティは、頻度>強度
座りっぱなしの人と、30分に一度、3分間ゆっくりと歩き回るブレイクを取った人の群に分けた時の、時間経過に伴う疲労度を調査したデータ※では、座りっぱなしの人と比較してブレイクを取った人のほうが、時間経過に伴う疲労度が大きく減少することも明らかになっている。 ※WennBerg P et al. BMJ Open, 2016 では仕事中、どのようにブレイクを取るべきか。 岡教授によれば、仕事中にトイレやコピー機に行くときに少し遠回りをして歩く、ランチを外に食べに行く、報告や相談をしに相手のデスクに歩いていくなど、負荷が小さい運動でもブレイクになるという。 つまり、激しい運動よりも、運動の頻度を上げるほうが重要なのだ。 弱いアクティビティでも、さまざまな健康効果が得られるという。
「社長イス」は座りすぎ促進?
実際に、岡教授の研究室では次のような「座りすぎない仕組み」を作っている。 まずは定番の昇降式デスクだ。設置が難しい場合は、いつも使っているデスクの上に、小さなデスクを重ねて高さを出し、立って仕事するのも一つの手だ。 椅子は、「社長イス」のような高機能で座り心地の良いデスクチェアではなく、あえて背もたれやひじ掛けのない椅子を設置している。 こうすることで、定期的に立ち上がる状況を作るのも、ブレイクの時間を作るうえでは有効だという。
片足上げなどもブレイクに有効
会の最後には、アシックスランニングクラブのコーチ、池田美穂氏も登壇し、ブレイクにぴったりなエクササイズを紹介してくれた。 手を上げて背伸びをしたり、片足を上げたりするなど、簡単で負荷の少ないエクササイズでも十分ブレイクになるという。 仕事中のちょっとした一工夫で、仕事中も心と体を健康に保ちたい。 ※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいてヘルスケアにまつわるポイントをまとめたものですが、効果には個人差がある場合がございます。記載内容はBusiness Insider Japanが保証するものではございませんので、参考にされる際は個人の責任においてご判断いただきますようお願いいたします。
市川みさき