松阪工・下谷君が三重県知事賞 金属など加工の2級フライス盤、初挑戦で合格
三重県松阪市殿町の県立松阪工業高校機械科(宮本直樹科長、120人)3年・下谷勇人君が、本年度前期の技能検定兼県技能競技大会(県職業能力開発協会主催)の機械加工の2級フライス盤作業に初めて挑戦し合格、さらに最高賞の県知事賞を獲得した。下谷君は「将来は自身が作った加工品が身の回りの生活必需品などに使われるとうれしい」と話す。 フライス盤作業は、軸回転する切削工具(フライス)で、台に固定した金属や木材などを削り、工作物に段差を付けたり溝を掘ったりすること。ミーリング加工やフライス加工とも呼ばれる。 同検定は、参加者の技能水準を一定の基準で審査し、参加者の技能水準の向上などを目的に行っている国家検定。2級は、実務経験や3級合格などの条件が必要となる。 下谷君は、プラスチック加工業に務める父親の影響で機械に興味があり、同校に入学。1年の時に同大会の機械加工の普通旋盤と機械管理の3級に1位で合格。さらに2年時には2級の普通旋盤に合格し、県知事賞を受賞した。 今回の2級フライス盤の検定は8月11日に同校で実施。鋼材2個を、提示された加工図面の通りに削り、はめ合わすことができるよう3時間以内に加工する。検定には審査員3人が立ち会い、完成品の正確性をその場で計測し、100点満点から減点方式で採点する。 下谷君は今年4月からフライス盤に本格的に取り組み始めた。当初は完成まで2日ほどかかっていた作業も、毎日休みなく努力を続け、検定では時間を残して終えられるまでに。検定では2個の部品がピタッとはまり手応えを感じていたが、後日、合格と知事賞獲得の結果が伝えられると、担任の浜辺恒彦教諭(51)と喜びを分かち合った。 下谷君は「検定の時は緊張しましたが、『成功させたい』と思い踏ん張りました。その結果、合格と知事賞獲得ができてうれしい。将来は機械系の仕事に就きたいです」と話した。 浜辺教諭は「入っても3位ぐらいかと思っていたので知事賞獲得に驚きました。彼はとにかく素直で、言ったことは吸収して自分のものにできるのが素晴らしいです」と教え子の頑張りに目を細めていた。