JFE商事審査部 インタビュー ~与信管理から取引支援に拡大、商社審査はなくならない ~
―審査部の歴史は
川鉄商事の前身となる1900年頃の指定問屋、新庄鋼材や青山特殊鋼、摩耶興業の時代から審査業務を行っていた。1954年設立の川鉄商事にも「審査法務部」があった。1999年に野崎産業と統合した時に審査部と法務部に分かれた。 川鉄商事の時代から与信管理を厳しくする文化があり、石橋を叩いて渡るのではなく、叩きすぎて壊してしまうくらい慎重にやっていた。川鉄商事が審査を通せば、他社は大丈夫といって取引をしていた話があったそうだ。 エヌケーケートレーディングとの統合で、審査部も次第に規模が大きくなった。
―審査部の業務や理念は
審査部は当然、与信管理が重要だが、債権保全や滞留債権の管理、グループの与信管理教育のほか、商社の審査部として安全保障貿易、カントリーリスクなど海外の取引に関する審査業務も強化している。 当社グループ全体で審査部門は37名が在籍している。当社だけでなく、グループ会社にも審査部か審査法務部があるところが多い。特に当社は、グローバル4極体制として、国内とアセアン、中国、米州に事業本部を設置しているが、各事業本部に審査部から審査のノウハウを持っている駐在員を一人ずつ出し、海外における与信管理も強化している。
―審査担当の育成は
国内はグループ会社の審査部門で連携し、「審査連絡会」という名称で定期的に情報交換や、「審査アカデミー」と銘打って勉強会などを開いているほか、審査部のOB会を開くなどして過去のノウハウを継承する取り組みなど、部員のレベルアップを常に図っている。 昔は、審査部にベテラン部員の占める割合が多かった。だが、当然ながらその方々も異動や定年退職となってしまった。現在は、審査業務歴が長い人が減り、若手社員が増えている。また、女性の比率も高まり、現在は9名が審査部で活躍している。 これまでも国内の倒産が減少しているから、審査部の人員も縮小という話はなく、むしろ海外などリスク管理強化に人的資源を割り振ってきた。従来、審査パーソンの教育には相当の年数が必要であるが、外部環境のスピードは早まっており、可能な限り早期に一人前にする教育、育成方法を常に悩みながらも実践している。