自分にとってウェルビーイングな会社とは?【藤田康人のウェルビーイング解体新書】
2013年4月に「高年齢者雇用安定法」が改正され、希望者は原則65歳まで継続して働けるようになりました。 厚生労働省による「就労条件総合調査結果の概況」(2022年)によると、定年制を定めている企業は94.4%、定めていない企業は5.6%という割合だそうです。さらに、定年制がある企業のうち一律に定年制を定めている企業は96.9%で、そのうち定年を60歳とする企業は72.3%、65歳とする企業は21.1%となっています。 定年制について調査した前回(2017年)の結果では、一律に定年制を定めている企業のうち60歳定年が79.3%、65歳定年が16.4%となっており、定年年齢が60歳から65歳へと徐々に移行していることがうかがえます。 バブル時代に大企業に入社した世代が今、60歳前後の年齢となり、サラリーマン人生の節目である定年の時期を迎えています。 同じ企業で定年延長して再雇用を希望する人だけでなく、このタイミングに自分で起業したり、リスキリングで新しいことにチャレンジしたりと、多くの人にとって60歳は人生のターニングポイントになります。
「就社」の時代に大企業を飛び出した
私が就職をしたバブル時代の1987年当時は、大手企業に就職するために就活をするのが当然でした。終身雇用が一般的であり、最初に入った会社で一生働くのが前提という、いわゆる「就社」という考え方が主流でした。 転職に関しても極めて保守的で、大企業を辞めて中小企業やベンチャーに転ずるなど、到底考えられないという空気が世の中を覆っていました。 そんな時代に、私は6年間お世話になった味の素という大企業を飛び出し、日本では誰も知らないフィンランドの企業に身を投じ、同社のアジアでのビジネス立ち上げに参加しました。28歳の時のことでした。 大学を卒業してから6年の間、大きな組織で必死に働き、素晴らしい先輩や同僚、取引先の方々から多くのことを学ばせていただきました。そして徐々にではあるものの、与えられたミッションである程度成果を出せるようになってきた、そんな矢先のことです。 与えられたミッションをこなすだけでは満足できない、自分の可能性をもっと大きなステージで試してみたい――いつの頃からか、そんな気持ちがだんだん大きくなっていました。 年功序列とゼネラリスト育成をベースにした人事制度を敷く大企業で、「世界を相手に大きなチャレンジをするチャンスが、自分にはいつ巡ってくるのだろうか」という不安と焦りが募っていたことも確かです。 そんなとき、当時の協業先のグローバル企業から、「日本での新規事業の責任者にならないか」というオファーがやって来たのです。ポジションとしては、同社のアジアナンバー2ということになります。 私はこのオファーに、自分の人生を賭けようと決断しました。上司であり、たった1人の同志でもある2つ年上のフィンランド人と共に、会議室すらない東京・神田の小さな雑居ビルの一室から、私たちは夢を実現すべく歩みはじめました。