<東京都知事選>立候補者の1日ルポ ── 鳥越俊太郎候補(後編)
当初、この後は午後3時30分からJR荻窪駅北口で街頭演説の予定だったが、急遽、その前に多摩ニュータウンの視察予定が組み込まれた。立川駅北口での街頭演説終了後、鳥越氏はスタッフとともに立川北駅から多摩モノレールに乗車。移動手段に自動車ではなくモノレールを選んだ理由をスタッフに聞くと、「この方が移動の効率が良いため」。車が渋滞に巻き込まれて予定が遅れると、その後の行動にも支障がでるからだ。 車中では、スタッフと記者に囲まれる鳥越氏。その群れの中で鳥越氏の前に出る機会をうかがっていると、別のスタッフから「乗客の皆さんの邪魔にならないようにしてください」とにらまれる。反省し、なるべく邪魔にならないようにと荷を降ろす。 同乗した記者らと談笑する鳥越氏。スタッフによると、記者と対するときは、ときに説教モードになるらしい。この日は、ビデオカメラを向けてずっと撮り続ける記者に対して、「昔はその映像が使われる場所を考えてカメラを回していた。そんなに撮影したらあとで編集が大変でしょう」とぼやいていた。表情はリラックスしており、今のところ疲労感は感じられないように見える。 終点の多摩センター駅で下車すると、ようやく鳥越氏のそばに近寄れた。この機会を逃さず、早速名刺を渡そうと鳥越氏に呼びかけるが、無反応。声が小さくて聞こえなかったのだろうか。3回目の呼びかけで、ようやくゆっくりと顔をこちらに回したので、自己紹介をして名刺を渡したが、鳥越氏は「……はい」と小声で名刺を受け取ると、あとは無言で迎えに来た車に乗車した。 後部座席に座っても、なんだろうこれ、とでもいうような感じで、手の中にある私の名刺をぼんやりとみていた。スイッチがオフの時間だったのだろうか。ほどなくドアが閉まり、発進。従来の団地を新たに建て替えたというブリリア多摩ニュータウンに向かった。
スケジュールがいささかタイトだったのかも知れない。JR荻窪駅北口での街頭演説は、予定通り午後3時30分に応援演説からスタートしたが、鳥越氏は渋滞に巻き込まれて少し遅れて到着。街宣車に上がった鳥越氏は、スイッチが入ったのか元気いっぱいで語り始めた。荻窪駅のロータリー付近はつめかけた人々で混雑。街宣車付近の歩道は移動するのが困難な状況だった。 同5時30分からのJR池袋駅西口での街頭演説にも、多くの人が集まった。広場の向かい側のビルには小池百合子氏の事務所が見える。本日の活動はこれでラスト。演説を終えると、両手のこぶしを力強くふりながら『鳥越コール』に応えていた鳥越氏。街宣車から降りた姿は、演説を終えたせいか、スイッチが切れて力が抜けたように見える。広場に集まった聴衆に、もう一度手を振ると、鳥越氏は車に乗り込み去っていった。