世界自然遺産活用プラットフォーム 観光の高付加価値化へ 「満足度向上」テーマに 公民連携で意見集約 鹿児島県奄美市
世界自然遺産の登録効果の最大化を目指す鹿児島県奄美市の公民連携会議「世界自然遺産活用プラットフォーム」(馬場武座長)の2024年度第2回会合が30日、奄美市役所であった。コアメンバー12人が3班に分かれ意見を交わし、「誰もが訪れたくなる島の在り方・将来像」を実現するための課題と解決策を協議した。意見は、25年2月に予定される第3回会合に向け集約され、安田壮平奄美市長へ提言される。 同プラットフォームは22年5月に設置。市・県の関係部署、観光関連の有識者、公募された市民代表ら14人がコアメンバーとして名を連ねる。8月に行われた第1回会合では、「来訪者の満足度向上」をテーマに観光の高付加価値化について議論。今会議では実現のための考え方や方向性が協議された。 参加者からは、▽伝統文化(八月踊り、シマ唄)を体験できる機会を増やし、観光資源とする▽住民との触れ合いを求めるコア層に向け、観光客と住民を文化・歴史の分野でつなぐ人材育成▽大学や大学生が利用する学びの場づくり―などの意見が出された。 伝統文化を観光客にアピールする「文化コンシェルジュ」の創設や、過疎化が進み担い手や伝承にマンパワーが不足していることから「郷友会の活用」を提案する声もあった。 同市政策アドバイザーの岩浅有記・大正大学地域構想研究所准教授は高付加価値な観光商品について、▽本物の自然・文化体験▽住民とのつながり▽共感できるストーリー―などが満足度を高め、再訪意向のあるロイヤルカスタマー(最優良顧客)化につながると解説した。 メンバーの一人は「奄美大島の持つ自然や独自の文化を観光客の視点で考えたい。満足度を高め、繰り返し来訪する顧客を増やすことができれば、住民も利益を享受できる」と話した。