130件のセクハラ、パワハラ認定 社福法人「グロー」訴訟の判決で分かった違法行為の全貌
北岡氏の行為を違法とし、約130のセクハラ、パワハラ、性加害行為も事実認定したにも関わらず、裁判所の金銭的評価は計660万円だった。請求額計5254万円と比較し、あまりにも開きが大きい。
判決後に会見した原告側の角田(つのだ)由紀子弁護士は「『人格的利益を違法に侵害した』と認めながら、慰謝料が安すぎる」と強い不満を表明。「『人格的利益』が大事なものと認識されていない。男性の発想でしかなく、考え直してほしい。この慰謝料ではまったく制裁にならない。日本の裁判所はゆるやかな認定しかできず、不十分。もう少し、裁判所はまじめに考えてほしい」と批判した。
■「控訴せず謝罪を」
東京地裁の判決を受け、グローの牛谷正人理事長は、ホームページ上で、北岡氏の行為について「社会福祉法人の理事長としての自覚と責任を欠いた極めて不適切な行為が含まれていた」と批判。その上で、弁護士や有識者らで構成する外部評価の整備など法人運営の健全化を図るとした。
一方、市民団体「社会福祉法人グローにおける性加害問題を考える会・滋賀」は1日、グローを訪れ、賛同者から集めた1万5990筆分の署名を手渡すとともに、「控訴をせず、速やかに責任を認めて原告に謝罪するように」と要求した。
また、同会は県に対し、グローを県立施設の指定管理者に選定し、女性活躍推進企業に認定してきたことを猛省し、女性活躍推進企業認定については直ちに取り消すことを求めている。(野瀬吉信)