現代の相続問題で一番気をつけるべきは「デジタル資産」。申告忘れには加算税や延滞税が上乗せされる…相続専門税理士が指摘する3つの問題点とは
『相続は怖い』#3
相続で「遺産」と聞くと、土地や家、預貯金などをイメージする人が多いはず。しかし、デジタル化が進む現代においては、故人がデジタル形式で保管していた財産も遺産に含まれる。そんなデジタル資産の注意点とは? 【図】総務省発表の「インターネット利用状況(個人)」 『相続は怖い』 (SB新書)から一部抜粋・再構成してお届けする。
デジタル資産が増えてくる
これまで資産といえば預貯金や有価証券、不動産など目に見えるものばかりでした(教育や親からの教えなどは除きます)。 ところがインターネットが普及してインターネットバンクやネット証券会社などが登場してからは、本人以外知り得ない資産が生まれるようになりました。 2023(令和5)年5月に総務省が発表した「令和4年通信利用動向調査の結果」によると、スマートフォンを保有している世帯の割合が90.1%と9割を超え、個人の保有割合でも77.3%と堅調に伸びています。 年齢階層別で見ると、インターネット利用状況は13~59歳の年齢階層が95%以上と多く、60~69歳は86.8%、70~79歳は65.5%、80歳以上は33.2%となっています。 インターネットの利用目的・用途の調査結果も発表されており、「金融取引」を選んだ人の割合は24.3%と、前年の21.6%に対して2.7ポイントアップしました。 現在、被相続人となっているのは80代、90代の高齢の方々です。この年代で、インターネットを利用している人はまだ3割。あくまで推測に過ぎませんが、この3割の人たちが利用するのはネットショッピングやSNSが目的で、ネットバンキングやネット証券での取引、さらにはサブスクの利用を目的としているケースはそう多くないと思われます。 問題はこれからです。 調査結果が示すように、70代になると、その上の世代の倍にあたる約66%の人がインターネットを利用しています。その中には金融取引をしている人たちが少なからずいることでしょう。 生前にそうしたデジタル資産について家族に「こういうことをやっているよ」と話しておいてくれればいいのですが、そうでないと誰も知らないデジタル資産がそのまま放置されるという事態になってしまいます。