2024年ヒットアニメの鍵は“OP”にあり? 『マッシュル』から『ダンダダン』までを再評価
人気原作のアニメ化に成功した『ルックバック』&『ダンジョン飯』
●人気原作のアニメ化に成功した『ルックバック』&『ダンジョン飯』 2024年は、マンガファンのあいだで評価が高い原作を圧巻のクオリティでアニメ化する企画も目立った。 たとえば6月に公開されたアニメ映画『ルックバック』は、『チェンソーマン』で知られる藤本タツキの同名マンガが原作。『少年ジャンプ+』で発表されるや否や大きな話題を呼び、「このマンガがすごい!2022」でオトコ編1位を獲得した名作が、実力派アニメーター・押山清高の手によってアニメ化された。 原作の時点で完成度が高すぎるということで、アニメ化を不安視するファンも多かったが、いざ公開されると絶賛の声が続出。押山監督のディレクションはもちろん、主演声優の河合優実と吉田美月喜による演技も高く評価された。藤本自身、作品の出来について「自分の作品に対してここまで真摯に作ってもらえる事が人生でもうないのではないかと思い泣いてしまいました」と公式コメントを発表していたほどだ。 1月から連続2クールで放送された『ダンジョン飯』も、アニメ化のハードルは非常に高かったと言える。原作は九井諒子による同名コミックで、「このマンガがすごい!2016」オトコ編1位や「第55回星雲賞」コミック部門など、数々の賞に輝いた名作。長らくアニメ化が期待されていた。 制作は『キルラキル』や『リトルウィッチアカデミア』で知られるTRIGGERが手掛けたが、そのクオリティは圧巻。マンガ的演出を上手く使いこなす宮島善博監督との相性もよく、原作ファンも納得のアニメ化となった。 売れ行きも好調だったようで、KADOKAWAが発表した「2025年3月期第2四半期決算」では、ライセンス収入を含む出版・IP創出売上高が『【推しの子】』に次ぐ第2位となっていた。 ●『【推しの子】』『鬼滅の刃』など“続編アニメ”も順当にヒット そのほか、2024年は前作からの人気・知名度が高いアニメの続編がいくつも放送されたことも記憶に新しい。5月には、『鬼滅の刃』のTVシリーズ第4期にあたる「柱稽古編」も放送された。同エピソードは鬼殺隊の面々と柱たちが、来たるべき鬼舞辻無惨との決戦に向けて特訓を行うというストーリー。どちらかといえばクライマックス前の箸休めという印象を受ける内容だったが、終盤では一転して、風雲急を告げる展開を迎えた。 さらに最終回の放送終了後には、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が3部作構成で制作中であることも発表。第1作は2025年中に公開予定とのことで、ファンの期待も高まっているようだ。 7月からの夏クールでは、2023年に大ヒットを記録したTVアニメ『【推しの子】』の第2期が放送された。 今回描かれたのは「2.5次元舞台編」。アクアやあかね、有馬かなといった主要キャラが勢ぞろいし、「東京ブレイド」というマンガの舞台化に挑むというストーリーで、原作では中盤の山場にあたる。 B小町の活躍も少なかったこともあり、第1期ほどの社会現象にはならなかったものの、人気は十分健在。ABEMAが集計した夏アニメの最終ランキングでは、再生数部門で第1位に君臨していた(※2)。そしてアニメ放送後も、11月に原作マンガが完結する一方、実写ドラマシリーズや実写劇場版が展開されており、話題性は加速するばかりだ。 1つずつ振り返るとキリがないほど、さまざまなヒット作が生まれていた2024年のアニメ界隈。次は一体どんな作品が世間を騒がせるのか期待しつつ、2025年冬アニメの始まりを楽しみにしたい。 参照 ※1. https://www.billboard-japan.com/special/detail/4259 ※2. https://times.abema.tv/articles/-/10149044?page=1
キットゥン希美