紋平柿の出荷量最多 136トン、販売額も最高4174万円 かほく市特産、鮮度保つ新技術奏功
●JA、ブランド化加速 かほく市特産「高松紋平柿」の今季の出荷実績が4日までにまとまり、出荷量は136トン(前年65トン)、販売金額は4174万円(2078万円)と、いずれも過去最高となった。天候に恵まれて豊作だったことに加え、鮮度を保つ新技術の導入で質の高い果実を安定して出荷することができた。JA石川かほくは認知度向上へ県内外でPRイベントを開き、さらなるブランド化につなげる。 今季の初出荷は昨年10月29日で、最高等級の「プレミアム」が1箱(6個入り)10万円で競り落とされた。出荷量は当初見込んでいた70トンの2倍となり、販売金額も過去最高だった2022年の3064万円を上回り、初めて4千万円台に乗せた。 今季は8月以降に適度に雨が降ったことや、実に黒い斑点ができる炭疽(たんそ)病の防除を適切に行ったことで落果が少なくなり、収量が増えた。薫蒸処理で果実の成熟を抑制する新技術「スマートフレッシュ」を採用したことで、高品質な柿の出荷割合が例年より高くなった。 JA石川かほくは従来の首都圏での販売促進活動に加え、さわし柿になじみの薄い中京の消費者にも照準を定めて岐阜中央青果への出荷を開始。バレーボールSVリーグ女子・PFUブルーキャッツ石川かほくのホームゲーム会場での対面販売も初めて実施した。 柿を氷温貯蔵することで出荷期間を12月まで延ばし、歳暮ギフト需要に対応できるようにしたことも販売額の増加につながった。 柿は豊作の翌年に収量が減る傾向があり、JA石川かほくは樹勢を保つための講習会を開催して来季の収量確保に努める。担当者は「ブランド化の成果は出荷量や販売額に現れている。生産者や関係団体と連携し、取り組みを一層加速させたい」と話した。 ★紋平柿 羽咋市から金沢市にかけての宝達山系の山麓地帯に古くからある渋柿。柿の大木があった家の屋号「紋平さ」に由来するとされ、ガスで脱渋し、濃厚な甘みを引き出す。石川県内最大の産地であるかほく市高松地区では19ヘクタールで約70人が栽培している。